港珠澳大橋―珠江デルタ一体化のシンボル (1/3)

「港珠澳大橋(英名:Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge)」は、その名の通り、香港、広東省の珠海、マカオの珠江デルタ東西三都市を結ぶ夢の架け橋だ。そんな夢のような話が実現するのはきっと遠い未来だろうと思われがちだが、実はそう遠くない未来、2016年にも実現される予定なのだ。すでに人工島の埋め立て造成が進んでおり、香港とマカオを結ぶフェリーから望むことができる。

珠江河口部を東西に横断するルート (c) 香港路政署

香港とマカオの間を結ぶ海上橋構想は1980年代からあったというが、現実味を帯びたのは香港とマカオがそれぞれ英国とポルトガルから中国へ返還されて以降の2000年代に入ってから。広東省、香港、マカオ(現地では「粤港澳」と呼ばれる)の一体化が国策として語られるようになったのがきっかけだ。

香港は北で深圳市と陸続きで隣接する位置にあるため、早くから鉄道や高速道路網で深圳、東莞、広州へとつながる珠江デルタ東部ルートが確立していた。しかし、香港から珠江を挟んで西側にある珠海、中山といった西部ルートへの陸路アクセスは一旦北上した上で珠江を越え、さらにそこから南下する必要があり、輸送効率が悪かった。このことから、珠江東側と比べ、西側への工場誘致が遅れた経緯がある。また、香港と観光都市マカオとの間も高速フェリーが主な交通手段となっており、陸上輸送による大量輸送が長年の念願とされてきた。華南地区最大の国際都市香港を中心とした珠江デルタ全体の持続的発展の促進、返還により中国へ復帰した香港、マカオと広東省の一体化という二大テーマが見事にマッチした結果、港珠澳大橋プロジェクトが動き出すこととなった。

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