マカオ、5月のホテル客室稼働率12.3%…対前年77.8pt下落…新型コロナ防疫対策によるインバウンド旅客激減影響

 マカオは人口約70万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオ政府統計調査局発表資料によれば昨年(2019年)通期の訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は前年から10.1%増の延べ(以下同)3940万6181人で、3000万人の大台を6年連続突破するとともに、3年連続で最多記録を更新。しかしながら、今年(2020年)1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限が講じられたことを受け、インバウンド旅客数は激減。3月下旬からは水際対策が一層強化されている。5月のインバウンド旅客数は前年同月から99.5%減の1万6133人。1〜5月累計では前年同時期から81.1%減の324万6344人にとどまった。国際観光都市マカオはかつてない逆風に晒されている。

 マカオ政府統計調査局は6月29日、今年5月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用として政府が借り上げたホテルの客室分は含まず、以下同)は12.3%で、前年同月から77.8ポイント(pt)の大幅下落となった。前月からも0.6pt下落。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から85.2pt下落の5.5%、4つ星が71.0pt下落の20.2%、3つ星が69.6pt下落の22.3%、2つ星ホテルが40.7pt下落の35.1%、ペンサオンが19.9pt下落の44.1%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が14.0%減、4つ星ホテルが18.0%減、3つ星ホテルが4.2%減だった点も考慮する必要がある。2つ星とペンサオンについては入境制限が講じられたことに伴い中国本土からの越境通勤者の仮住まいとして利用されたことなどもあり、下落幅が小さかったものとみられる。

 今年5月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から11軒減の108軒、供給客室数は12.4%減の3.39万室あり、このうち5つ星ホテルが3軒減の33軒で、供給客室数は全体の62.5%を占める2.12万室。

 今年5月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から89.9%減の11.6万人。主な内訳は中国本土旅客が7.1万人、香港旅客が1.0万人で、いずれも9割超の下落。地元のマカオは34.6%減の3.3万人。ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.7日延びて2.1日。

 今年1〜5月累計のホテル客室稼働率は前年の同じ時期から61.0pt下落の30.4%、ホテル宿泊客数は70.7%減の169.7万人、ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.2日延びて1.7日。

 参考までに、マカオの昨年通期の平均客室稼働率は90.8%だった。

 このところマカオ域内の状況は落ち着いているが、現在も厳格な入境制限(検疫措置)は維持されており、緩和のメドは示されていない。マカオ経済はインバウンド依存度が高く、影響の長期化が懸念される。

入境制限を含む厳格な新型コロナ防疫対策の影響でインバウンド旅客が激減したマカオ。写真は観光名所、世界遺産・セナド広場=2020年5月11日本紙撮影

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