VIPルーム不振響く…マカオカジノ大手SJMが大幅減収減益=16年第1四半期

世界最大のカジノ売上を誇る都市として知られるマカオだが、2014年下半期から低迷が続いている。今年(2016年)第1四半期(1〜3月)の累計カジノ売上は561.76億パタカ(約7533億円)で、前年同期比13.3%減。

マカオのカジノ経営ライセンスを保有する6陣営の一角で、リスボアブランドのカジノ施設及び中小規模のホテル内にフランチャイズ方式で衛星カジノを展開するSJMホールディングスは5月3日、今年第1四半期の監査前業績発表を行った。

広報発表資料によれば、同社の今年第1四半期のカジノ売上は前年同期から22.8%減の110.19億香港ドル(約1522億円)、調整後EBITDAは32.5%減の8.38億香港ドル(約116億円)、純利益は44.1%減の5.61億香港ドル(約78億円)で、主要指標がいずれも大幅なマイナスとなった。

マカオ全体のカジノ市場に占める同社の売上シェアは20.2%で、前年同期から2.5ポイント下落。部門別の内訳については、VIPルーム売上が29.2%減の56.06億香港ドル(約774億円)、マスゲーミングフロア(平場)売上が14.9%減の51.46億香港ドル(約711億円)、スロットマシン(トンボラ含む)が14.3%減の2.67億香港ドル(約37億円)だった。

第1四半期の毎月末時点の平均カジノテーブル数はVIPルームが前年同期から161台減の369台、マスゲーミングフロアが89台増の1298台、スロットマシンが105台増の2898台で、VIPからマスへのシフトが目立った。

なお、同社の第1四半期の売上高は111.51億香港ドル(約1540億円)で、カジノ売上が実に98.8%を占めた。非カジノ部門のホテル、飲食及び関連サービスの売上は16.5%減の1.32億香港ドル(約18億円)にとどまる。

同社がマカオ・コタイ地区で開発を進める新IR(統合型リゾート)プロジェクト「グランドリスボアパレス」については順調に工事が進捗しているとし、完成見通しはこれまで同じ2017年末に据え置いた。

マカオのカジノ売上減の背景として、昨今の中国経済のスローダウン、反汚職キャンペーンなどを理由に、中国本土富裕層を中心としたハイローラーと呼ばれるVIPカジノ客のマカオ渡航意欲が減退していることが指摘されている。一方、訪マカオ旅客数そのものは大きく変わっておらず、平場にあたるマスゲーミング部門の売上は比較的安定的に推移している。こういった状況の中、カジノ6陣営がVIPルームのゲーミングテーブルをマスゲーミングフロア(平場)に移すなどのマスシフトを進めている。

マカオ半島の中心部に位置するSJMホールディングスの旗艦施設「グランドリスボア」(資料)—本紙撮影

マカオ半島の中心部に位置するSJMホールディングスの旗艦施設「グランドリスボア」(資料)—本紙撮影

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