マカオドッグレース運営会社が82%減益…15年=マイナス傾向続く、年内に存廃判断

豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノ施設ばかりが目立つが、実はマカオには競馬、グレイハウンド犬を使ったドッグレース、サッカー及びバスケットボールを対象としたスポーツくじ、ロトといった各種合法ギャンブルも存在する。

現在、アジア太平洋地域で合法ギャンブルとしてのドッグレースが存続するのはマカオのみとなっている。

このほど、マカオの官報に掲載されたドッグレースの運営会社にあたるマカオ逸園カニドローム社の2015年決算資料によれば、2015年の年間利益は前年から82%の大幅減となる480万パタカ(日本円換算:約6188万円)だった。直近5年間の年間利益の推移を見ると、2011年は1億330万パタカ(約13億3150万円)、2012年は8520万パタカ(約10億9820万円)、2013年は7040万パタカ(約9億743万円)、2014年は2670万パタカ(約3億4415万円)と減少傾向にあり、2014年と2015年の下落幅が特に大きい。

マカオ半島北部にあるドッグレース場の入場ゲート(資料)-本紙撮影

マカオ半島北部にあるドッグレース場の入場ゲート(資料)-本紙撮影

かつてマカオのギャンブルの花形として栄えたドッグレースだが、近年はファンの高齢化、売上の減少、施設の老朽化が進み、さらには動物愛護団体から虐待だとする指摘を受けるなど、存続の是非が活発に議論されるようになった。

マカオでドッグレースがスタートしたのは1932年のこと。1963年以降、マカオ逸園カニドローム社が独占経営している。マカオ特別行政区政府とマカオ逸園カニドローム社との契約が今年(2016年)末で満期を迎える。実は、ドッグレースの運営契約は昨年末に満期を迎えていたが、マカオ政府が暫定的に1年間の延長を認めた上、学術調査などを経て2016年末までに存続もしくは廃止の判断を下す方針を示しており、その行方に注目が集まっている。

なお、昨年のドッグレースの売上は1億4500億パタカ(日本円換算:約18億6907万円)で、カジノの3515億2100万パタカ(約4兆5303億円)に遠く及ばない規模となっている。

ちなみに、マカオ逸園カニドローム社はマカオカジノ最大手のSJMホールディングスやマカオジョッキークラブ(競馬)、マカオスロット(スポーツくじ)などを傘下に持つ総合観光・娯楽企業グループSTDM社(本社:マカオ)グループの一員。

マカオのドッグレース(資料)-本紙撮影

マカオのドッグレース(資料)-本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  2.  アフターコロナ初年となったマカオの昨年(2023年)通期のカジノ売上(粗収益、Gross Gam…
  3.  マカオ・コタイ地区にある統合型リゾート(IR)ギャラクシーマカオのイーストスクエアで4月24日、…
  4.  マカオ治安警察局は4月24日、同月22日に路線バスの車内で乗り合わせていた20代の女性の臀部に下…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月24日、マカオ半島新口岸地区にあるマカオグランプリ博物館でレゴ…

ピックアップ記事

  1.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  3.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  5.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun