マカオLRT鉄道建設関連予算が当初想定5倍の2291億円に…今後さらなる膨張も

7月17日に開催されたマカオ立法会公共財政事務フォローアップ委員会において、マカオ新交通システム(マカオLRT)建設プロジェクト関連の総予算が最初に計画を発表した2003年時点の想定額からおよそ5倍となる164億パタカ(日本円換算:約2291億円)にも達していることが明らかとなった。

マカオ初となる軌道系大量輸送機関として大きな期待がかかるマカオLRT第1期プロジェクトはマカオ半島北部の關閘から外港フェリーターミナル、新口岸、南灣湖を経由して媽閣に至るマカオ半島線、媽閣から西灣大橋を経てタイパ島に入り、大型IR(統合型リゾート)が建ち並ぶコタイ地区を通ってマカオ国際空港、タイパフェリーターミナルに至るタイパ線の2線、21駅、21キロメートルで構成される。

このうち、タイパ線(9.3キロ、11駅)が2012年末に先行着工済み。マカオ半島線についてはルート調整が難航するなど、現在まで本格着工に至っていない状況だ。そもそも、2003年の計画発表時点では2006年の開業を予定していたが、これまで複数回にわたって延期が繰り返されてきた。現時点でタイパ線については2019年開業予定とアナウンスされている。

今年(2018年)第1四半期時点におけるマカオLRT関連プロジェクト総予算のうち、110億パタカ(約1537億円)を先行着工したタイパ線分が占め、残りはタイパ線からコロアン島北部方面に延びる石排灣支線及びタイパ線とマカオ半島線の接続駅となるマカオ半島南部の媽閣駅の建設費、マカオ半島の第2路線として計画中のマカオ半島東線の調査費とのこと。なお、マカオ半島線、タイパ線から中国本土の横琴新区方面に延びる蓮花口岸支線の建設費、石排灣支線の車両費、建設費、コンサルティングサービス費などが含まれていないため、予算は今後さらに膨張することが不可避な状況だ。

タイパ線では、昨年11月から試運転もスタートしている。マカオLRT第1期プロジェクトでは、国際入札を経て日本の三菱重工と伊藤忠商事の共同体が駅舎と土木工事を除くLRTシステム一式を46億8800万パタカ(約655億円)で受注しており、東京の「ゆりかもめ」と同タイプ(クリスタルムーバー型)の日本製列車がマカオの街を走ることになっている。

マカオLRTタイパ線の馬會駅付近における試運転の様子(資料)=2018年3月(写真:GIT)

マカオLRTタイパ線の馬會駅付近における試運転の様子(資料)=2018年3月(写真:GIT)

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