マカオ、カジノ売上に占めるVIPルーム比率の過半数割れ続く…19年第3四半期は約44%=平場は大きく伸長

 豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノ施設ばかりが目立つが、実はマカオには競馬、サッカー及びバスケットボールを対象としたスポーツくじ、ロトといった各種合法ギャンブルも存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。

 マカオ政府博彩監察協調局は10月16日、今年第3四半期(2019年7〜9月)の各種ギャンブル統計を公表。

 今年第3四半期の総ギャンブル売上は前年同時期から4.1%減の710.03億マカオパタカ(日本円換算:約9600億円)、このうちカジノによる売上は4.1%減の707.94億マカオパタカ(約9572億円)で、実に全体の99.7%を占めた。

 カジノ売上の内訳については、VIPルームによる売上を反映するVIPバカラ売上が22.5%減の310.85億マカオパタカ(約4203億円)。カジノ売上全体に占めるVIPルームの割合は10.4ポイントの大幅下落となる43.9%となり、今年第1四半期から3四半期連続で過半数を割り込んだ。一方、マスゲーミング(いわゆる平場)のバカラ売上は20.5%増の305.77億マカオパタカ(約4134億円)で、VIPルームからマスへのシフトが伺える。マカオのカジノではバカラが圧倒的なシェアを誇り、カジノ売上全体に占めるVIPバカラとマスゲーミングバカラ売上の比率は87.1%に上る。

 今年第3四半期末時点のカジノ施設数は前年同時期から横ばいの41軒で、ゲーミング(カジノ)テーブルの数は昨年第3四半期末から158台増の6756台、スロットマシンの数は130台増の1万7348台だった。

 カジノ以外の各種ギャンブルの売上については、競馬が47.4%増の0.28億マカオパタカ(約3.8億円)、中国式ロトが横ばいの0.03億マカオパタカ(約0.4億円)、サッカーくじが24.7%減の1.34億マカオパタカ(約18.1億円)、バスケットボールくじが2.2%減の0.44億パタカ(約5.9億円)など。なお、ドッグレースはコンセッション満了により昨年6月末でレース開催を終了したためゼロ。

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

【資料1】2019年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:249.42億マカオパタカ=約3372億円(5.0%減)
・2月:253.70億マカオパタカ=約3430億円(4.4%増)
・3月:258.40億マカオパタカ=約3494億円(0.4%減)
・4月:235.88億マカオパタカ=約3189億円(8.3%減)
・5月:259.52億マカオパタカ=約3509億円(1.8%増)
・6月:238.12億マカオパタカ=約3220億円(5.9%増)
・7月:244.53億マカオパタカ=約3306億円(3.5%減)
・8月:242.62億マカオパタカ=約3281億円(8.6%減)
・9月:220.79億マカオパタカ=約2985億円(0.6%増)
>1〜9月累計:2202.97億パタカ=約2兆9787億円(1.7%減)

【資料2】2013年〜2018年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億マカオパタカ=約4兆8778億円(18.6%増)
・2014年:3515.21億マカオパタカ=約4兆7530億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億マカオパタカ=約3兆1212億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億マカオパタカ=約3兆0181億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億マカオパタカ=約3兆5932億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億マカオパタカ=約4兆0948億円(14.0%増)

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