マカオ、25日連続で新型コロナの新規感染確認ゼロ…累計患者数10人中8人が治癒し退院=来週末にも湖北省に残るマカオ人帰還用の救援機派遣へ

 中国・湖北省武漢市で集中発生している新型コロナウイルスによる肺炎について、世界各地で感染拡大に対する懸念が高まる中、中国本土からのインバウンド旅客が多いマカオでも、官民の間で各種防疫対策が進んでいる。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染対策センターは2月29日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同センターによれば、直近24時間以内に新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。マカオにおける直近の新規感染確認は2月4日のことで、25日連続で新規感染確認ゼロとなった。

 これまでの累計患者数は10人で、最初の7人が武漢からの旅客、直近の3人がマカオ人。累計退院者は8人で、内訳は武漢からの旅客7人とマカオ人1人。武漢からの旅客は退院後すぐに専用車両で中国本土へ戻り、マカオ人についてはは再発症リスクを考慮して自宅へは戻さず、隔離施設へ移送しての経過観察となっている。残るマカオ人2人についても軽症で、発熱や明らかな呼吸困難といった症状はないとのこと。

 このほか、封鎖中の武漢市含む湖北省に残るマカオ居民(マカオ居留権保有者)の救援計画について、初めて具体的なプランが明かされた。同センターによれば、来週末にもチャーター機を使った救援に乗り出すとし、すでに中国中央及び湖北省政府から同意を得ているとのこと。現在、100人超のマカオ居民が湖北省内に滞在しているが、一部はチャーター機が発着可能な武漢天河国際空港から車で数時間かかる場所におり、第一便では移動中の感染リスク等を考慮して空港に近い場所に滞在する50〜60人が対象となるという。なお、チャーター機搭乗前に現地において発熱の有無や呼吸器感染症の症状の有無といった基本的な健康検査、感染者との接触歴の確認は行うことができるが、新型コロナウイルス感染の有無を検査することはできないため、マカオ到着後に検査を行った結果、感染が確認される可能性があり武漢における発症率が1〜10%であることを考慮すると、仮に10%として10人程度の新規感染確認があり得るとした。なお、チャーター機でマカオへ戻った後、救援を受けた全員を即時コロアン島にある隔離施設へ移送するとのこと。

2月29日夕方に開催されたマカオ政府新型コロナウイルス感染対策センターによる定例記者会見(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染対策センター)

 マカオ政府は1月後半以降、一連の春節祝賀イベントやMICEイベントの中止、世界遺産含む文化施設の一時休館、カジノ及びレジャー・娯楽施設の一時休業(カジノは2月5日から19日まで、レジャー・娯楽施設は同日から3月1日まで)といった観光都市としての魅力をあえて消すと同時に、中国本土及び他の高発生地区(現時点では韓国、イタリア、イラン)との往来を物理的に制限すること、マカオ住民に対しても不要不急の外出を控えさせる策などを講じることで、これまでのところ感染拡大の食い止めに成功しているといえる。

 域内の状況は落ち着き、一時休業していたカジノやホテルも大半が再開したマカオだが、入境制限を含む厳格な防疫対策を堅持されており、インバウンド旅客は激減したままだ。アジア有数の観光都市とあり、経済的打撃は大きく、試練の日々となっている。

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