マカオ、28日連続新型コロナ新規感染確認なし…累計患者数45人中40人が治癒し退院、死亡例ゼロ

 中国・湖北省武漢市での集中発生に端を発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、世界各地へ流行が拡大する中、国際観光都市マカオでも、状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは5月6日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同センターによれば、直近24時間以内に新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。マカオにおける直近の新規感染確認は4月8日のことで、実に28日連続で新規感染確認ゼロとなった(輸入関連性症例に限ると39日連続ゼロ)。また、同日1人(インドネシア・ジャカルタからからマカオへ戻った41歳のインドネシア人男性=就労ビザ)が治癒し退院した(入院期間45日間)ことも明らかにした。患者の妻と子も感染が確認され入院治療を受けていたが、すでに退院済み。

 マカオでは1月末から2月初旬にかけて10人の感染が確認された後、3月15日まで40日連続新規感染確認ゼロを記録したが、以降は外国からの帰国ラッシュもあり、4月8日までに35人増え、感染確認者の累計45人(輸入性症例が43人、輸入関連性症例が2人)となった。マカオでは無症状であっても検査で陽性であれば感染確認者と見なされ、指定医療機関に入院して治療を受けることになっている。初期の患者10人は武漢からの旅客7人とマカオ居民(「マカオIDカード」保有者)3人で、3月6日までに全員が治癒し退院済み。3月中旬以降に確認された患者35人についても、すべて中国以外の外国からの輸入性あるいは輸入関連性症例で、その多くがマカオ到着時のイミグレーション施設における検疫、あるいはマカオ到着後の隔離下における医学観察期間中に発見されており、これまでのところ市中感染例はない。

 累計退院者数は40人となり、現在は5人が指定医療機関となるコロアン島の高頂公共衛生臨床センターの陰圧病室で入院治療中。全員が軽症で容体は安定しているとのこと。マカオの指定医療機関(2施設)には陰圧病床が232床あり、人工呼吸器72台、人工心肺装置(ECMO)3台を擁し、設備、医療スタッフとも充足している。死亡例、院内感染例もゼロ。マカオにおける患者の入院期間は3週間前後となっている。退院後も再発症リスクを考慮して隔離施設(高頂公共衛生臨床センター)の陰圧病室で14日間の経過観察、その後も14日間の自宅待機を必須とする措置が講じられている。

5月6日夕方に開催されたマカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 世界的に流行が拡大する中、マカオ政府は輸入例に対する警戒を強めており、3月中旬以降、水際対策の強化が進んでいる。同月25日からは、1)マカオ居民:入境可能だが、過去14日以内に外国、香港、台湾滞在歴がある場合、政府指定場所における14日間の隔離検疫の対象。2)外国人:入境禁止。3)中国本土・香港・台湾居民:過去14日以内に外国滞在歴がある場合は入境禁止。4)中国本土・香港・台湾居民:過去14日以内に香港または台湾滞在歴がある場合は入境可能だが政府指定場所における14日間の隔離検疫の対象。5)中国本土・香港・台湾居民:過去14日以内に外国、香港、台湾の滞在歴がない場合は入境可だが高流行エリア(広東省、河南省、浙江省、重慶市、北京市、上海市)からの入境については医学検査ステーションにおいて医学検査を受けることが必須。6)過去14日以内に湖北省に滞在した非マカオ居民または中国本土籍のブルーカード保有者は入境にあたって新型コロナウイルス未感染証明書の提出が必須となり、「ほぼボーダー封鎖」ともいえる厳格な措置が講じられている。マカオ国際空港では3月25日からトランジット(乗り継ぎ)サービスを一時中止中で、4月15日以降は政府民航局がマカオ国際空港へ乗り入れる航空会社に対し、マカオ到着便の乗客に出発地の医療機関が発出した新型コロナウイルス核酸検査(NAT=Nucleic Acid Test)結果が陰性であることを証明する書類の提示を求め、提示できない場合は搭乗を拒否するよう通達している。

 3月中旬から4月頭にかけて続いた帰国ラッシュも落ち着き、近日では新たに隔離検疫の対象となる人の数も減少。隔離検疫を受けた人の数は5日までの累計で4153人、同日時点で隔離検疫中は82人となり、ピーク時に12軒あった隔離検疫用の指定ホテルは現時点で1軒(ポウサダ・マリーナ・インファンテ)のみとなっている。

 マカオ政府は水際対策だけでなく、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう1月下旬にマスク有償配給制度を立ち上げ、現在まで継続実施中。水際対策強化によりインバウンド旅客が激減したことを踏まえ、毎年恒例で実施している市民への現金配布の前倒し実施や電子商品券の配布といった大規模な経済支援対策も打ち出している。

 電子商品券は5〜7月分として3000マカオパタカ(日本円換算:約4万円)分が配布済み。経済局が会見で明らかにした内容によれば、5月1〜5日累計の決済額は約2.95億マカオパタカ(約40億円)、決済件数は273万回だったとのこと。決済場所については飲食店が27.53%、スーパーの23.61%、食品専門店が8.51%、中小百貨小売店が5.62%、ドラッグストアが4.23%で、金額ベースではスーパーが22.03%、飲食店が21.44%、電器店が8.90%、中小百貨小売店が7.68%、衣料品店が6.72%とした。1日あたりの上限は300マカオパタカ(約4000円)となっている。また、8〜12月分として5000マカオパタカ(約7万円)分が後日追加チャージされる予定。

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