マカオ、43日連続で新規感染確認なし…入院患者ゼロ状態続く=マスク有償配給制度はしばらく継続

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大する中、国際観光都市マカオでも、状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは5月21日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同センターによれば、直近24時間以内に新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。マカオにおける直近の新規感染確認は4月8日のことで、43日連続で新規感染確認ゼロとなり、2〜3月中旬にかけて達成した「40日連続」の記録を更新中。輸入関連性症例に限ると54日連続ゼロだった。

 また、これまでの累計感染確認者数(入院)は45人(輸入性症例43人、輸入関連性症例2人)で、5月19日までに全員が治癒し退院済み。死亡例もゼロを達成している。

 マカオでは無症状であっても検査で陽性であれば感染確認者と見なされ、指定医療機関に入院して治療を受けることになっている。入院期間は平均3〜4週間、退院後も再発症リスクを考慮して隔離施設(高頂公共衛生臨床センター)の陰圧病室で14日間の経過観察、その後も14日間の自宅待機を必須とする多重の安全措置が講じられている。市中感染も発生していない。

 マカオの新型コロナ指定医療機関(2施設)には陰圧病床が232床あり、人工呼吸器72台、人工心肺装置(ECMO)3台を擁し、設備、医療スタッフとも充足した状態で乗り切ることに成功。院内感染例もなかった。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見=2020年5月21日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 マカオで新型コロナ入院患者がゼロ状態となったのは3月7〜14日以来の2度目のこと。前回は武漢からの旅客らの退院と流行が欧米やアジア各地へ拡大したことを受けての帰国ラッシュの狭間にあたる時期だった。

 マカオでは今年1月下旬以降、入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられている。海外からの輸入症例を阻止するため、3月後半以降、水際対策が一層強化され、現在まで維持されている。市民生活は不便を余儀なくされ、インバウンド旅客の激減に伴う経済への打撃も大きい。マカオ政府は水際対策と同時に、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう1月下旬にマスク有償配給制度の立ち上げ、毎年恒例で実施している市民への現金配布の前倒し実施や電子商品券の配布といった民生、経済支援対策も実施している。

 記者会見の中で、22日から10日間にわたって13回目となるマスクの有償配給を実施することも発表された。割当枚数と売値は前回までと同様の10枚1組8マカオパタカ(日本円換算:約110円)。6月1日から小学1〜3年の授業再開が予定されていることから、特別措置として5〜8歳には子供用マスク10枚が割り当てられる(従来は子供用5枚、標準サイズ5枚の組み合わせ)。政府新型コロナウイルス感染症対策センターでは、域内の状況は落ち着いているものの、市民に対しても気を緩めず、外出機会の減少、人混みを避ける、外出時のマスク着用といった従来の防疫対策を維持してほしいと呼びかけている。目下、公共交通機関を利用する際など、マスクの着用が必須となっている。同センターはマスク有償配給制度について、今後しばらくの間は維持する考えを明らかにしている。

 このほか、あるスーパーマーケットが食用油の安売りを実施し、客が殺到して混乱が生じた事案があったことを挙げ、防疫対策上好ましくないものとし、運営企業に対して客と市民の安全に配慮するよう求めたとのこと。

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