マカオ衛生局が2020年上半期の違法喫煙取り締まり状況公表…新型コロナ影響で数字は下落も法令遵守と喫煙への取り組み呼びかけ

 世界的な健康意識の高まりを受け、マカオでは屋内公共エリア及び公園などの大半を禁煙とする「新禁煙法(喫煙予防及びコントロール法)」が2012年1月1日から施行され、市内ではマカオ政府衛生局(SSM)の法執行官(禁煙Gメン)が昼夜を問わず巡回取り締まりを行っている。

 その後、2018年1月に改正法が施行となり、マカオ国際空港とカジノに設置された喫煙所を除く屋内パブリックエリアを全面禁煙としたほか、屋外に関してもバス停・タクシー乗り場の周囲10メートルを新たに禁煙ゾーンに設定。コンビニエンスストア、スーパーマーケット、新聞スタンド等の店頭におけるたばこ製品の公開陳列が禁止となり、禁煙ゾーンにおける違反喫煙に対する罰金が従来の2.5倍に相当する1500マカオパタカ(日本円換算:約2万円)になるなど、各種罰金が大幅に引き上げられた。また、昨年(2019年)1月からはカジノフロアの全面禁煙化が実施されている。

 マカオのカジノ施設は、2014年10月6日からハイローラーと呼ばれる大口ギャンブラーを対象としたVIPルームが分煙、平場にあたるマスゲーミングフロアが全面禁煙となり、マスゲーミングフロアには喫煙ルームが設置された。昨年1月からはカジノフロアの全面禁煙化がスタート。喫煙はマスゲーミングエリア(いわゆる平場)とVIPルームのそれぞれに設置された政府認可済みの新基準をクリアした高規格の喫煙ルーム内でのみ可能となっている。

 カジノフロア内については、SSMとカジノ監理当局にあたるDICJが合同で取り締まりを行っている。SSMが7月3日に発出したプレスリリースによれば、今年上半期(1〜6月)の2部局による合同巡回場所は前年同時期から85.9%減の延べ112箇所、違反者は85.1%減の延べ116人(うち71.6%がインバウンド旅客)だった。

 今年上半期の禁煙Gメンによる巡回場所は61.3%減の延べ6万7672箇所(1日平均延べ372箇所)、違反検挙数は1216件。このうち、禁煙ゾーンでの違法喫煙行為が1197件で、違反場所については港が最も多く、全体の23.3%を占めた。

大型IR(統合型リゾート)スタジオ・シティ・マカオの高規格喫煙ルームを視察するマカオ政府社会文化庁の譚俊榮長官と衛生局の李展潤局長ら(資料)=2018年11月14日(写真:GCS)

大型IR(統合型リゾート)スタジオ・シティ・マカオの高規格喫煙ルームを視察するマカオ政府社会文化庁の譚俊榮長官と衛生局の李展潤局長ら(資料)=2018年11月14日(写真:GCS)

 新基準をクリアした高規格喫煙ルームの申請、認可状況は、6月30日までに37のカジノ施設から723室の申請があり、同日までに36のカジノ施設の692箇所を認可したとのこと。

 なお、今年上半期の巡回場所の数が前年同時期から大幅に減少した理由については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響とみられる。

 マカオでは増税によるたばこ製品の値上げや免税持ち込み範囲の縮小などの施策も相次いで講じられおり、愛煙家を取り巻く環境は厳しさを増している。SSMでは、目下の新型コロナウイルス感染症の世界的流行下、WHOが喫煙が肺へ損傷を与え、感染した場合の重症化リスクが高まる可能性があると指摘したことを挙げ、たばこから距離を置き、法律を遵守し、早期に禁煙に取り組むよう呼びかけた。

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