マカオ、7月のホテル客室稼働率12.1%…対前年81.0pt下落…コロナ禍でインバウンド旅客激減=1〜7月累計66.4pt下落の25.0%

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオ政府統計調査局発表資料によれば昨年(2019年)通期の訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は前年から10.1%増の延べ(以下同)3940万6181人で、3000万人の大台を6年連続突破するとともに、3年連続で最多記録を更新。しかしながら、今年(2020年)1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限が講じられたことを受け、インバウンド旅客数は激減。世界的な流行拡大に伴い、3月下旬からは水際対策が一層強化された。7月のインバウンド旅客数は前年同月から97.9%減の7万4006人。1〜7月累計では前年同時期から86.0%減の334万2906人にとどまった。国際観光都市マカオはかつてない逆風に晒されている。

 マカオ政府統計調査局は8月28日、今年7月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用として政府が借り上げたホテルの客室分は含まず、以下同)は12.1%で、前年同月から81.0ポイント(pt)の大幅下落となった。前月からは0.3pt上昇。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から86.2pt下落の7.8%、4つ星が75.6pt下落の18.3%、3つ星が73.4pt下落の20.6%、2つ星ホテルが61.2pt下落の19.4%、ペンサオンが42.9pt下落の23.2%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が10.4%減、4つ星ホテルが15.9%減、3つ星ホテルが1.4%減だった点も考慮する必要がある。

 今年7月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から5軒減の114軒、供給客室数は9.3%減の3.49万室あり、このうち5つ星ホテルが2軒減の34軒で、供給客室数は全体の62.8%を占める2.19万室。

 今年7月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から87.9%減の15.2万人。主な内訳は中国本土旅客が5.5万人、香港旅客が1.1万人で、いずれも9割超の下落。一方で、地元マカオはホテル側の市民向けプロモーションによるステイケーション需要の掘り起こし努力などもあって49.5%増の8.1万人に。ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.2日延びて1.6日。

 今年1〜7月累計のホテル客室稼働率は前年の同じ時期から66.4pt下落の25.0%、ホテル宿泊客数は75.7%減の198.3万人、ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.2日延びて1.7日。

 参考までに、マカオの昨年通期の平均客室稼働率は90.8%だった。

 マカオ経済はインバウンド依存度が高い。昨年の総インバウンド旅客に占める中国本土旅客の割合は約7割だった。このところマカオ域内及び中国本土における新型コロナの流行状況が落ち着いたことを受け、中国広東省珠海市居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の発給が8月12日から、広東省居民についても同月26日から再開された。さらに、特殊な状況が発生しなければという条件付きながら、9月23日から中国本土全域に拡大するスケジュールも発表済み。今後、段階的に中国本土からのインバウンド旅客の回復が見込まれることから、ホテル客室稼働率の上昇も含めた経済効果が期待されている。ただし、外国人の入境禁止緩和については未定とされたまま。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

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