香港、1/19単日の新型コロナ新規感染確認数56人…ソーシャルディスタンス措置など現行防疫策の再延長、春節恒例の花市は一転復活へ

 人口約750万人の香港では、昨年(2020年)11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いている。

 香港政府は1月19日夕方の記者会見で、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数が56人だったと発表。内訳は市中感染が55人、輸入性が1人。感染経路不明は23人に上った。新規感染確認数は約1ヶ月ぶりに3桁(107人)となった前日から大幅に下落したが、依然として感染経路不明が4割強おり、市中に存在する無症状感染者が感染を拡大させている可能性が懸念される。このほか、翌日以降に感染確認となる可能性が高い陽性予備群(初歩感染確認者)は60人超とのこと。

 1月に入って以降に新規感染者が集中して確認されたことを受け、九龍半島の油麻地(ヤウマテイ)から佐敦(ジョーダン)エリア一帯では強制検査の対象が拡大されている。この日の感染確認者のうち46人がエリア内に設置された臨時検査センターにおけるもので、感染経路不明42人のうち同エリア居住者が10人、初歩感染確認者でも約半数に上った。ネパール国籍など東南アジア系の住民が多数含まれるという。この日も新たに佐敦地区の3つのビルが強制検査対象に指定され、対象となるビルの合計は約40棟に。香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は19日午前、行政会議出席前に記者会見に臨んだ際、同エリアのコア区画については感染者の有無に関係なく強制検査の対象とし、それ以外については感染者が1人以上出現したビルを強制検査対象とする方式を維持、さらに同様の方法を他エリアにも拡大し、九龍半島の深水埗(サムソイボウ)エリアで先行実施すると発表。

 また、依然として市内各所で集団感染(クラスター)や集合住宅(マンション、宿舎)における感染連鎖も続いている状況。

 ここまでの香港における累計感染確認数は9721人、退院者数は8827人、死者数は164人。

 香港政府は早期に市中感染ゼロを達成することを目標として掲げ、状況に応じた施策を打ち出している。12月下旬に英国や南アフリカで感染力が強いとされる変異種のウイルスが出現したこと、クラスター及び感染経路不明事案が続いていることなどを受け、ソーシャルディスタンス措置(飲食店での同席数を2人までとし、夕食時間帯の営業を禁止するなど)及び学校の対面授業の見合わせ期間の延長、感染者が確認されたマンション・雑居ビル等を対象とする強制検査、水際対策の厳格化、密接接触者追跡センターの稼働などが進んでいる。19日の記者会見で、ソーシャルディスタンス措置などの防疫策の実施期限は1月20日から1月27日まで7日間再延長することも発表された。なお、春節ホリデーにかけて不要不急の会合を控えるよう呼びかけ、密を避けるため春節(旧正月)シーズンに各所で開催される恒例の花市などのイベントを中止する方針を示していたが、19日夜になって花市については会場数を15ヶ所に減らし、場内の販売ブースを半分にした上、販売スタッフの開催前のウイルス検査を必須とするなどの防疫措置を講じた上で実施することが明らかにされた。

 一方、香港の隣にある人口約68万人のマカオでは、1月19日まで207日連続(輸入関連性症例に限ると296日連続)で新規感染確認がゼロとなっている。すでに中国本土との往来制限の緩和が進み、中国本土からのインバウンド旅客が戻りつつある中でもゼロを維持できていることから、水際措置が機能しているといえる。状況が落ち着いているマカオだが、政府が春節シーズン恒例の歳末マーケットや花火大会の中止が発表済みで、市民に対して不要不急の外遊を避ける、マカオで就労する中国本土出身のワーカーに対しては帰省を見合わせるようそれぞれ呼びかけている。香港で花市が一転復活したことを受け、マカオ側でも開催を求める声が上がりそうだ。

記者会見に臨む香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官=2021年1月19日(写真:news.gov.hk)

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