マカオ、プリペイドSIMユーザー数が6割超の大幅減…2020年12月=コロナ禍インバウンド旅客減や実名登録制導入など影響か

 マカオ政府統計調査局が1月28日付で公表した最新の通信統計によると、マカオの昨年(2020年)12月末時点の携帯電話契約数は前年の同月から42.0%減の162万1217件だった。

 マカオの人口は約68万人。携帯電話ユーザー数が人口を大幅に上回る背景には、SIMロックフリー端末とプリペイドSIMカードの普及が挙げられる。市内各所にプリペイドSIMカードの自販機が並び、スーパーやコンビニエンスストアの店頭でも容易に購入やチャージをすることができる。

 上述の携帯電話ユーザー数にはプリペイドSIMカード分も含まれ、全体の48.6%を占める78万8268件だったが、前年同月末との比較では60.5%の大幅減。前月からマイナス幅は9.5ポイント拡大した。

 マカオ、香港、中国本土は同じ中国でありながら、マカオは853、香港は852、中国本土は86という固有の国際電話の国(地域)コード番号を持ち、通信事業社も各地ごとに異なる。中国本土や香港を含む海外からマカオを訪れた旅客が携帯電話を利用する場合、国際ローミング扱いとなり通信料が高額となることから、マカオ到着後にマカオの通信事業社が販売するプリペイドSIMカードを購入することが一般化している。

マカオのプリペイドSIMカード自販機(資料)—本紙撮影

マカオのプリペイドSIMカード自販機(資料)—本紙撮影

 一昨年末以降、プリペイドSIMユーザー数の減少傾向が続いている。昨年10月には携帯電話ユーザー総数に占める割合が5割を下回った。その背景のひとつとして、新型コロナ防疫対策の一環として水際措置が強化されたことによるインバウンド旅客減が挙げられる。また、マカオでは、2019年12月22日にサイバーセキュリティ法が施行となったことを受け、同日からマカオの通信キャリアが販売するプリペイドSIMカードの実名登録制がスタート。同日以降、新たにプリペイドSIMカードを購入して使用する場合、アクティベーション時に実名登録が必要となった。開通済みのプリペイドカードSIMカードを使用している場合も補充実名登録手続きが必要となり、昨年10月17日に締め切られたことも大きな要因といえる。昨今、マカオ域内では政府と民間の合同による無料Wi-Fiサービスもスポットの拡充が続いている。

 このほか、昨年12月末時点のマカオの固定電話契約数は前年同時期から7.8%減の10万7340件、インターネット契約数は7.2%増の63万2175件。12月単月のインターネット総接続時間は6.8%増の1.5億時間、1〜12月累計では4.3%増の16.5億時間。

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ政府衛生局は4月23日夜、マカオで「人食いバクテリア」と呼ばれる細菌のひとつ、ビブリオ・バ…
  2.  このほどマカオ政府財政局が公表した最新の財政収支資料によれば、今年(2024年)1〜3月累計の歳…
  3.  今年(2024年)6月23日から7月3日にかけて、マカオでISF(国際学校スポーツ連盟)「ワール…
  4.  マカオ・コタイ地区にある統合型リゾート(IR)グランドリスボアパレス(上葡京)で4月22日、世界…
  5.  マカオの統合型リゾート(IR)運営企業SJMリゾーツ社は4月22日、マカオ特別行政区の成立25周…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  3.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  4.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  5.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  5.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun