マカオ、325日連続で新型コロナ市中感染例の確認なし…累計48人、死亡例ゼロ=約1万人がワクチン接種予約

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは2月17日午後5時(現地時間、以下同)から週に一度の定例記者会見を開催。同日までマカオの市中における新型コロナの感染確認は輸入性または輸入関連性事案のみで、市中における感染伝播事案は出現していない。市中感染確認例は無症状感染者を含めて325日連続ゼロだった。輸入性事案に関しては11日連続ゼロ。

 これまでの累計感染者数は48人で、46人が域外からの輸入性、2人が輸入関連性事案。院内感染、死亡例ともゼロを達成している。

 目下、指定医療機関の隔離病室収容者が3人(感染確認者2人、血液抗体検査での陽性反応出現者1人)おり、いずれも1月21日に海外の滞在地から東京(成田)を経由してマカオに到着した在外マカオ居民。感染確認者のうち1人は入院後に微熱が続いていたが、10日からは発熱はないとのこと。もう1人の感染確認者は無症状。いずれも直近の核酸検査では陰性で、19日に再度検査を行い、陰性であれば回復期隔離に移行するという。血液抗体検査でIgM抗体が陽性反応を示した1人については、これまで9回の核酸検査で陰性が続いており、以前に感染していた可能性が考えられるとし、18日に28日間の隔離を終える見込み。

 1月21日には100人超の在外マカオ居民が同じ東京経由ルートで到着しており、密接接触者を除いた帰郷者及び航空機の運航スタッフはホテルでの21日間の隔離検疫期間を満了済み。

 マカオでは、2月6日に新型コロナワクチンの”初荷”として、中国医薬集団(シノファーム)の不活化ワクチン(生産地:中国・北京)の第1便(10万本)が到着。9日から高リスク群を対象とした接種がスタートしている。17日午後4時までに接種予約を終えた人は1万人超(うち4300人が高リスク群)、実際に接種を済ませた人は約2000人とのこと。22日からは接種対象が全マカオ居民(年齢制限等の条件あり)に拡大され、初日の予約者数は2200人とのこと。1日あたりの予約枠は5000人分用意されている。なお、これまでに接種後の不良反応に関する報告は入っていないとした。

 マカオ政府は中国医薬集団社製に加え、中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテックのmRNAワクチン(生産地:ドイツ、フランス、ベルギーのいずれか)、英国アストラゼネカのアデノウイルスベクターワクチン(生産地:米国)計140万本を確保済みで、順次到着予定としている。また、ワクチン接種はあくまで希望制であり、在庫がある場合は複数のワクチンの中から自由に選択できることも強調した。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見=2021年2月17日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 マカオでは、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び中国本土における状況が落ち着いてきたことを受け、7月中旬から両地間の往来制限に関して緩和が進んでいる。すでに、中国本土の一部の中リスク地域(状況に応じて随時アップデートされる、詳細後述)滞在歴がある場合を除き、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明の取得などの条件を満たせば隔離検疫なしで往来が可能となっている。

 一方、英国で感染力の高い変異種が出現したこと、世界各地で14日間の隔離検疫後に感染が確認される例が相次いでいることなどを受け、昨年12月下旬以降、相次いで水際措置が強化されている。

 具合的には、12月21日午後10時から中国本土及び台湾以外からの入境者に対する隔離検疫措置について、従来の14日間から21日間に延長。また、12月23日午前0時以降、マカオ入境前21日以内に外国に滞在歴のあるすべての中国本土、香港、台湾居民のマカオ入境が禁止に。1月21日からは、マカオ入境時の隔離検疫対象者について、隔離検疫期間満了後も自己健康追跡期間が設定された。隔離検疫期間はマカオ入境前の滞在地によって、14日間または21日間となっているが、隔離検疫期間満了後のそれぞれ少なくとも14日間、7日間が自己健康管理期間となる。自己健康管理期間満了予定日の1日前に新型コロナウイルス核酸検査を受け、その結果が陰性であれば自己健康管理措置が解かれるという。自己健康管理中は厳格な個人防疫措置を講じることが求められる。外国人の入境禁止措置も継続中。

 昨年1月下旬以降、入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられており、市民生活は不便を余儀なくされ、インバウンド旅客の激減に伴う経済への打撃も大きい。マカオ政府は水際対策と同時に、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう昨年1月下旬からマスク有償配給制度が現在まで継続実施されているほか、毎年恒例実施している市民への現金配布の前倒しや電子商品券の配布、各種中小企業支援措置といった民生、経済支援対策にも乗り出している。

 中リスク地域の指定は市中感染例の出現状況に応じて随時アップデートされ、マカオ入境前14日内に滞在歴がある場合、マカオ到着後、政府指定場所で14日間の医学観察(強制隔離検疫)を受ける必要が生じる。地域指定は社区と呼ばれる基礎行政区画など比較的細かく設定されるが、比較的広い区域や、大都市全域が対象となるような例もある。

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