マカオ、バラバラ殺人事件の容疑者スピード逮捕

 マカオ司法警察局は6月13日午後に緊急記者会見を開き、前日タイパ島でバラバラ遺体が発見された件について、容疑者のスピード逮捕に成功したことを発表した。

 警察発表によれば、6月12日朝、マカオ・タイパ島にある大潭山の斜面にある階段で清掃会社の職員が人体の一部とみられる物体を発見し、警察に通報が寄せられたという。その後、司法警察局が発見現場一帯を封鎖し、同局の鑑識官と治安警察局の警察犬部隊が捜索に着手。夜にかけてバラバラになった遺体の全部を発見。捜索の過程で身分証と血のついた上着1点の入ったバックパックが見つかり、遺体の頭部の容貌と身分証の写真が似ていたことから、被害者の身元が中国本土出身の37歳の無職の女性と特定されたとのこと。検死の結果、死亡指定時刻は12時間前であることが明らかになった。

 警察は各種分析の結果、死体が遺棄された時間を11日午後11時から12日午前0時の間と絞り込み、大規模な標的捜査を展開し、容疑者の身元を中国本土出身の28歳の無職の男と特定。容疑者は11日午後4時に被害者と接触しており、被害者が容疑者とともにコタイ地区にあるホテルの客室に入って以降、外出していないことが判明。また、容疑者は入室してから40分後に部屋を出た後、市街地へ出かけてスーツケースと刃物を購入していたという。午後10時、容疑者はタクシーを利用してタイパ島の中心部へ行き、そこからスーツケースを引いて遺棄現場を訪れた後、再びタクシーでホテルに戻り、12日未明に再びホテルを出て、タクシーでタイパ島の中心部へ行き、スーツケースをゴミ箱に捨て、ホテルへ戻って着替えをし、ホテル近くの草むらに立ち寄ってからマカオ半島北部にある關閘イミグレーション経由でマカオを離れ、中国本土へ移動したとのこと。

 その後の捜査で、ホテル客室のバスルームから大量の血痕が見つかり、容疑者の立ち寄り先のゴミ箱とホテル近くの草むらから犯行に使用されたとみられるスーツケースや刃物が相次いで見つかり、DNA鑑定の結果、刃物に付着していた血痕が被害者のものと一致したという。

 容疑者が中国本土に逃亡したことが判明したことから、中国本土の警察当局との緊急区域警務協力メカニズムを通じて、容疑者の手配を要請。13日未明に広東省中山市内で逮捕に成功したとの報が寄せられたとのこと。容疑者は現地警察当局の調べに対し、殺人及び死体遺棄、被害者の金品を奪ったことを認める供述をしているという。

 マカオ司法警察局では、今回の事件は容疑者、被害者とも中国本土出身であり、容疑者のマカオ側への引き渡しはないとした。なお、容疑者は死体遺棄のためタクシーを利用した際、何度も降車場所を変更したり、運転手に遠回りをするよう求めたこと、迅速に着替えを済ませたことなどから、警察の捜査を撹乱させる目的があったとの見方を示した。容疑者と被害者が顔見知りであったかどうか、どのようなトラブルがあったのか、容疑者が被害者から奪った金品の行方などについては、今後の中国警察当局による捜査結果を待つ必要があるとした。

マカオ司法警察局が公開した事件の証拠品など(写真:マカオ司法警察局)

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