中国本土の新型コロナ再流行が10省25都市に拡大…大水害のあった河南省鄭州市で院内感染発生=各地で防疫措置引き締め進む

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功したが、以降も局地的な再流行が相次ぎ出現している。

 直近では、雲南省のミャンマー国境付近での市中感染確認が続くほか、7月下旬には江蘇省南京市の南京空港で感染力の強いデルタ株のクラスターが発生して各地へ波及するなどの事案があり、すでに再流行は10省の25都市にまで拡大。香港・マカオに隣接する広東省を含めた中国各地で防疫措置の引き締めが進んでいる状況。

 中国の国家衛生健康委員会が8月1日に公表した内容によれば、7月31日の中国本土における新規市中感染確認は53人で、内訳は江蘇省が30人、河南省が12人、湖南省が4人、雲南省が3人、福建省、山東省、湖北省、寧夏回族自治区が各1人。無症状は河南省で20人、湖南省で4人、福建省で1人の計25人。河南省での急増は鄭州市の病院で院内感染が発生したため。同市は近日大規模な水害に見舞われた。

 7月31日24時時点の中国全土で治療中を受けている感染確認者数(輸入性含む)は1022人で、うち25人が重症。無症状の患者443人が医学観察下にあるという。

 広東省と陸で接するマカオでは、新型コロナの市中感染例は約490日にわたってゼロを維持しており、封じ込めに成功している状況。

 流行初期から現在まで、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、中国本土でも概ね状況が落ち着いたことを受けて、昨年7月中旬以降、両地間の往来制限が段階的に緩和された。同年9月下旬までに中国全土で訪マカオ許可(観光ビザに相当)の申請・発給が再開され、一部の「中リスク地域」を除き、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明取得などの条件を満たせば隔離検疫なしでの往来が可能となっている。中国本土との往来制限緩和後もマカオでは市中感染ゼロを維持できており、各種防疫対策が機能しているといえる。

 中リスク地域の指定は市中感染例の出現状況に応じて随時アップデートされ、マカオ入境前14日内に滞在歴がある場合、マカオ到着後、政府指定場所(ホテル)で14日間の医学観察(強制隔離検疫)を受けることが必須で、さらに隔離検疫満了後も14日間の自己健康管理期間として個人防疫対策を講じることが求められる。

 7月下旬以降、中国本土各地における再流行を受けて、中リスク地域指定が増えている。地域指定は社区と呼ばれる基礎行政区画など比較的細かく設定される。

 マカオ政府が設定した8月1日午前2時時点(現地時間)の中リスク地域は下記の通り。

■雲南省:徳宏タイ族チンポー族自治州瑞麗市/隴川県
■江蘇省:宿遷市泗陽県衆興街道西湖社区/南京市/揚州市/淮安市洪沢区高良澗街道
■遼寧省:瀋陽市大東区津橋街道栄楽社区/大連市甘井子区泉水街道(7/25以降)
■四川省:綿陽市フ城区呉家鎮恵科路1号廠区/成都市青羊区光華街道、高新区石羊街道(7/25以降)/宜賓市南渓区南渓街道(7/25以降)
■湖南省:張家界市(7/17以降)/常徳市(7/17以降)/株洲市雲龍示範区学林街道(7/25以降)/湘西トゥチャ族ミャオ族自治州古丈県默戎鎮墨戎苗寨/吉首市峒河街道/長沙市天心区赤嶺路街道、寧郷市城郊街道
■湖北省:黄崗市紅安県永佳河鎮
■河南省:鄭州市二七区京広路街道、長江路街道、第六人民醫院
■福建省:アモイ市思明区蓮前街道(7/25以降)
■重慶市:江津区双福街道(7/24以降)

 このほか、マカオでは7月31日午前0時以降、中国本土からの空路での入境者に対し、出発時間から48時間以内の新型コロナPCR検査陰性証明の提示を求めるなどの措置を講じている。

 マカオと隣接する広東省珠海市当局は7月31日、中国本土における今回の再流行の拡散スピードが早いとし、全市民に対して不要不急の市外、省外への移動を控える呼び掛けを行った。市内では南京空港クラスター関連で感染者が1人確認されており、一部エリアのロックダウンや全市民に対するPCR検査の実施が行われている。

広東省・珠江西岸各都市を結ぶインターシティ鉄道の珠海駅(資料)—本紙撮影

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