中国、福建省で海外からの帰国者発端の新型コロナ再流行出現…新規市中感染確認22人、無症状感染13人=9/12

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功したが、以降も局地的な市中感染確認例が度々出現している状況。

 最近では、雲南省のミャンマー国境付近での市中感染確認が続くほか、7月下旬には江蘇省南京市の南京空港で感染力の強いデルタ株のクラスターが発生して各地へ波及するなどの事案があり、近日新たに福建省の一部でデルタ株の市中における伝播が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会が9月13日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、12日の中国本土における新規市中感染確認は22人だったとのこと。すべて福建省(莆田市15人、泉州市6人、アモイ市1人)で確認されたもの。うち2人は先に無症状感染例とされた患者が感染確認に転じたもので、いずれも福建省の事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは3日連続。また、市中の無症状感染例についても13人(すべて福建省莆田市)で、3日連続の出現。

 福建省の事案については、8月4日にシンガポールから帰国した38歳の男性をきっかけに拡散したものである可能性が濃厚とされている。この人物は、中国到着後に21日間の隔離検疫検疫を受け(検疫中に受けた検査結果はすべて陰性)、8月26日から莆田市仙遊県の自宅における7日間の健康観察に切り替えられたとのこと。その後、当地の小学校で児童に対するPCR検査を通じて2人の陽性が確認され、うち1人がシンガポールからの帰国者の息子だったという。これを受けて検査範囲を拡大したところ、新たな陽性者が相次いで発見された。アモイ市の患者2人のうち1人は病院勤務者、もう1人は莆田市で感染確認された患者の密接接触者とのこと。

 9月12日24時時点の中国全土で治療中を受けている感染確認者数は751人(うち輸入性が639人)で、6人が重症。無症状の患者411人が医学観察下にあるという。

 7月下旬から始まった中国本土における大規模なリバウンドは南京空港で発生したクラスターから波及したものだが、そのきっかけは海外から到着した航空機とされている。感染力の強いデルタ株で、瞬く間に10を超える省市とマカオへ波及したものの、すでに多くのエリアで伝播を断ち切ることに成功。8月中旬以降は主に江蘇省、河南省、湖北省、湖南省の4省で新規感染例の出現が散発的に続いたが、近日は無症状も含めて新たな感染確認例はなく、発生から約1ヶ月を経て終息に至った。本件に関連するリスク地域として残っているのは江蘇省揚州市(全域)のみとなっている。

 上記と無関係のケースでは、8月20、21日にかけて上海浦東国際空港の国際カーゴエリアでの業務に従事する5人の感染確認が相次ぎ、以降は密接接触者の中から24日に2人、26日に1人の感染確認(デルタ株)があった。ただし、迅速な対処によって同職域及び密接接触者内にとどまっている。本件に関連して、現在も空港に近い浦東新区祝橋鎮(交通機関を利用して同地域を通過するだけの空港利用者は含まず)がリスク地域に指定されている。同空港では8月初旬にも国際カーゴ機サービススタッフのデルタ株感染例が報告されている。

 広東省でも9月4、5日にかけて広東省広州市越秀区にある隔離検疫用ホテル「東海大廈酒店」の女性従業員とその密接接触者が相次ぎ感染確認される事案があった(発見当初はいずれも無症状感染、デルタ株)。最初に無症状感染とされた女性従業員は、主に隔離検疫のため滞在中のゲストへの配膳と客室の清掃を担当しており、輸入性感染確認された宿泊客のウイルスゲノム配列が概ね一致することから、輸入関連性の感染例とみられる。5日に感染確認された密接接触者も同ホテルの清掃スタッフだったとのこと。すでにホテル周辺及び患者、密接接触者の関係先は局地ロックダウンされ、スクリーニングが進められる中、以降は、10日に密接接触者の中から9回目のPCR検査を経て新たに1人の無症状感染例が見つかったのみ。

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。新規感染確認数は8月10日から減少傾向に転じ、沈静化したことから、多くの地域で防疫措置が緩和に転じている。ただし、新たに福建省でリバウンドが出現し、患者の出現範囲が泉州やアモイといった大都市を含む省内複数都市に広がりつつあり、予断を許せない状況だ。中国では今年5月下旬に広東省でもデルタ株の大規模な再流行が発生したが、約1ヶ月で封じ込めに成功した実績がある。

中国・福建省アモイ市の町並み(資料)=本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオは長く本格的な鉄道が存在しなかったが、2019年12月に新交通システム「マカオLRT」タイ…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月18日、今年第1四半期(2024年1〜3月)のマカオのツーリズ…
  3.  マカオ政府経済・科技発展局は4月17日、昨年第4四半期(2023年10〜12月期)の工業輸出状況…
  4.  マカオ・コタイ地区にあるギャラクシーアリーナで「ITTF(国際卓球連盟)男女ワールドカップマカオ…
  5.  マカオで複数のカジノIR(統合型リゾート)を運営するサンズチャイナ社は4月18日、今年(2024…

ピックアップ記事

  1.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  3.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  5.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…

注目記事

  1.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  2.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  5.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年4月号
(vol.130)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun