香港、新型コロナ新規陽性者は24人…市中感染5人中1人が感染経路不明、そごう店員=1/10

 人口約740万人の香港では、2020年11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いていたが、2021年5月にかけて状況が落ち着き、同月末までに終息した。

 6月以降も外遊歴のない人(多くが空港業務従事者)の散発的な感染確認があったものの、長く市中における連鎖的な伝播は出現していなかったが、大晦日に検疫規則違反のキャセイパシフィック航空の男性クルーをきっかけとしたレストラン「望月樓」店内での伝播が出現したことが判明し、83日にわたって続いた市中感染確認例ゼロ記録がストップ。年初にはキャセイ航空の女性クルー(キャビンアテンダント職)を発端とした別の感染連鎖伝播チェーンが出現し、連日新たな陽性者が相次いでいる。いずれも感染力が非常に強いとされるオミクロン変異株の事案。感染経路不明の事案も複数あり、流行第5波が始まったものとみられる。

 香港衛生当局の発表によれば、1月10日午前0時時点集計の単日の新規陽性者は24人で、内訳は輸入関連性を含む市中が5人、輸入性(海外からの入境者)が19人。

 輸入関連性を含む市中の陽性者5人のうち1人が感染経路不明とのこと。感染経路不明の患者は新界・屯門地区に居住する香港島・銅鑼灣(コーズウェイベイ)にある百貨店そごう(崇光百貨)兼職販売員の女性(20)。主な活動エリアは屯門で、同地区内にある家人が運営する薬局や複数のレストラン訪問歴があり、患者の家人2人(患者の父親にあたる薬局店主1人含む)に症状が出現しているという。なお、先にオミクロン変異株感染確認されたキャセイ航空CAが昨年12月27日にこの薬局を訪れていたことから、ウイルスゲノム解析結果を待って関連性を判断するとしている。

 目下、香港では市中で出現した陽性者及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)あるいは強制ウイルス検査の対象となっている。

 また、香港衛生当局は10日、近日強制検疫の対象となる人の数が増え、検疫センターのキャパシティが限界に近づいているとし、検疫センターにおける強制検疫期間を従来の21日間から14日間に短縮し、15日目以降は自宅における自己監察期間へ変更することも発表された。オミクロン変異株は潜伏期間が短い特徴があるとし、専門家らに諮った上の決定とした。

 このほか、香港の1月9日午後8時時点のワクチン接種率は74.4%(1回目の接種完了)、69.8%(2回目の接種完了)となっている。累計接種回数は1023万3794回、1日あたり接種回数は2万8077回(7日移動平均値3万7376回)。香港ではワクチンが充足している状況で、政府は昨年9月末までに免疫の壁を構築するのに必要とする目標の接種率7割(1回目接種完了)を突破できるとする見通し示していたが、9月以降は接種回数の低迷が顕著で、11月23日にようやく達成された。11月11日から3回目の接種(ブースター接種)がスタートし、上述の接種回数には3回目も含んだものとなっている。3回目の累計接種回数は52万2487回。市中感染確認例が相次ぎ出現したことで、年初から再び接種回数が増加傾向に転じている。

香港の町並み(資料)—本紙撮影

香港の町並み(資料)—本紙撮影

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