中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は639人…上海では9日連続1千人以下=5/23

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月24日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月23日の中国本土における新規市中感染確認者数は141人(前日から33人減)だったとのこと。内訳は、上海市58人、北京市41人、四川省19人、天津市16人、陝西省4人、遼寧省1人、吉林省1人、浙江省1人。このうち上海市の39人、四川省の8人、天津市の6人、北京市の2人、遼寧省の1人の計56人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは220日連続で、21日連続500人以下となった。

 市中の無症状感染例は498人(前日から130人減)。内訳は、上海市422人、四川省24人、河南省23人、天津市8人、北京市7人、吉林省7人、浙江省3人、江蘇省1人、福建省1人、江西省1人、山東省1人。

 無症状を含む新規感染者数は639人で、11日連続2千人以下に。このうち上海市の報告数が480人に上り、全体の75.1%を占めた。上海では9日連続1千人以下を維持。

 5月23日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は3956人(うち輸入性が203人)で、重症者は192人(輸入性ゼロ)。無症状の患者3万0323人(輸入性429人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・上海(資料)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。

 今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態にある。ただし、近日の新規感染確認数は1000人以下まで減少しており、5月17日までに全市で社会面清零(隔離対象以外の一般市中におけるゼロコロナ状況)が実現したとされる。これを受けて、封鎖エリアの縮小、開放を順次進め、6月1日から中・下旬にかけて正常化を図る計画が示され、22日から区を跨ぐ交通について段階的に再開する新たなステージに入った。

 4月22日以降、北京市でも連日2桁の感染例が続き、累計感染者数は1500人規模に達している。市内では依然としてクラスター及び社会面(隔離対象ではない一般市中)におけるPCRを検査を通じたスクリーニングで陽性者が出現する状況。人的流動の抑制策などが講じられている。

 香港・マカオと陸で接する広東省でが、今年に入って以降、広州市、深圳市、東莞市、珠海市、中山市、湛江市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、5月22日に再び省内全域が低リスク地域に復帰した。

 NHCは23日午後の会見の中で、中国本土における市中の感染確認及び無症状感染者の報告数は27日連続で減少したが、新たなクラスターの発生など、防疫情勢は依然として深刻かつ複雑との見方を示した。目下、外からの流入を防止するため、イミグレーションにおける防疫対策に重点を置いた取り組みを進めているとのこと。

 マカオ特別行政区では5月23日まで225日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、3月初旬にピークを過ぎたとされる。第5波開始以来、5月23日までの累計は約119.8万人(無症状含む)、死亡者数は9157人。23日単日では190人(輸入性28人含む)で、2日ぶりに減少となり、第5波ピーク期以降の最少を更新。200人以下となるのもピーク期以降で初めて。ここまで目立ったリバウンドは発生していないものの、ソーシャルディスタンス措置の緩和を受けて、近日はクラスターの発生が続く中、今後増加に転じる可能性も排除できないとされる。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

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