香港の新型コロナ新規感染者数251人…隔離検疫ホテル交差感染きっかけの市中伝播拡大続く=5/26

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、このところは単日200〜300人程度を行き来しており、下げ止まっている。

 香港衛生当局が5月26日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日と同数の251人(輸入性36人含む)とのこと。第5波開始以来の累計感染者数は119万8707人。新規の死亡報告数は2人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9161人に。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現し、人数は30人前後。オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。

 流行状況の安定を受けて、4月中旬から学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が段階的に進んだ。ソーシャルディスタンス措置の緩和以降、クラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が数十人規模に達した例もあるほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染から市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1)の伝播につながったケースがるものの、これまでのところは目立ったリバウンドは出現していない。

 隔離ホテル交差感染が市中での伝播につながったケースについては、香港島東区の太古城にあるファストフード店に居合わせた複数人のほか、患者と同一マンションに暮らす人の間で2次、3次伝播も確認されており、関連症例の累計は11人に上っている。流行第5波のきっかけの1つも隔離ホテルから市中への流出だったことから、本件の動向が気がかりだ。

 また、1つの幼稚園でもクラスターが出現しており、累計は9人(児童8人、教員1人)に。

 5月25日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は91.9%(1回目の接種完了)、86.6%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。25日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は3万1628回で、7日移動平均は3万4737回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(73.15%)、70〜79歳(80.77%)、80歳以上(66.99%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ治安警察局は4月24日、同月22日に路線バスの車内で乗り合わせていた20代の女性の臀部に下…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月24日、マカオ半島新口岸地区にあるマカオグランプリ博物館でレゴ…
  3.  マカオ政府衛生局は4月23日夜、マカオで「人食いバクテリア」と呼ばれる細菌のひとつ、ビブリオ・バ…
  4.  このほどマカオ政府財政局が公表した最新の財政収支資料によれば、今年(2024年)1〜3月累計の歳…
  5.  今年(2024年)6月23日から7月3日にかけて、マカオでISF(国際学校スポーツ連盟)「ワール…

ピックアップ記事

  1.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  3.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  3.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun