日本の水際措置で市中感染約8ヶ月ゼロ維持のマカオが中リスクの「黄」分類に…現地で物議醸す

 5月26日、日本政府は6月1日から実施する新たな水際対策措置に関して、追って公表するとしていた「赤」、「黄」、「青」の区分を発表。

 マカオは中リスクを意味する「黄」に分類されたが、現地では物議を醸している。

 実は、マカオでは直近およそ8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持している。外国人の入境は基本的に認められず、海外からの入境者には2週間の隔離検疫が必須となっているが、中国本土との間では一定の条件をクリアすれば隔離検疫免除での往来ができる状況。決して出入りを閉ざしてゼロコロナを達成しているわけではない。

 一方、現在も流行第5波が続く香港と各地で再流行が出現する中国本土は低リスクを意味する「青」に分類された。

 「青」と「黄」の帰国者・入国者に対する措置の違いについては、青では「ワクチン3回目接種の有無によらず、入国時検査を実施せず、入国後の自宅等待機を求めない」とされるが、「黄」では「入国時検査を実施した上で、原則7日間の自宅等待機を求める/入国後3日目以降に自主的に受けた検査の結果が陰性であれば、その後の自宅等待機の継続を求めない/ワクチン3回目接種者については、入国時検査を実施せず、入国後の自宅等待機を求めない」となっている。加えて、観光客としての入国を認めるのは当面「青」に限定されるという。

 なぜ、長期にわたってゼロコロナを維持しているマカオが「黄」に分類されたのか、マカオの人たちにとっては理解しづらいようだ。

 マカオでも、日本は旅行先として絶大な人気を誇り、コロナ禍で訪日が叶わず、早期の終息を待ち望む声が多く聞かれる。よって、マカオ及び日本の水際措置の変更に関するニュースは大きな関心事となっている。

 マカオ政府社会文化庁の歐陽瑜長官は28日に囲み取材を受けた際、本件についてコメントを発出。マカオ政府として、日本国駐香港総領事館に対し、判断基準を理解するためのレターを送付する考えを明らかにした。

 一部の記者から、マカオで大規模な市中感染が出現しなかったことが日本側の判断に影響したとする意見もあると問われた際、歐陽長官はノーコメントとした。このほか、マカオが外国人に対する入境禁止を維持していることへの対抗措置ではないかとする見方もある。

囲み取材に応対するマカオ政府社会文化庁の歐陽瑜長官=2022年5月28日(写真:GCS)

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