香港の新型コロナ新規感染確認者数が3日連続1千人超に…ソーシャルディスタンス措置引き締めなし=6/17

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、直近2週間は再び増加に転じている。

 香港衛生当局が6月17日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から71人減の1014人。2日連続で1千人超となった。内訳はPCR検査経由が379人、迅速抗原検査経由が635人。

 輸入性は37人増の131人。このうち67人が空港到着時の検査、54人が隔離検疫用ホテルまたは医療機関での検査、10人が到着7日目(隔離検疫期間最終日)の検査でそれぞれ発見に至ったもの。

 市中と輸入性の合計が1千人超となるのは3日連続。

 新規の死亡報告数は1人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9180人に。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーでクラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が3ケタに達したほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1など)の伝播につながったケースなどもある。

 17日の学校からの陽性報告数は126校の145人(学生102人、教職員43人)。先週以来、対面授業再開後の平均水準を大きく上回る状況が続く。また、このところオミクロンBA2.12.1の市中感染確認が相次ぎ、患者の出現範囲は香港の広い範囲に及び、感染経路不明のケースも多くなっている。17日は市中で新たに18人の感染確認があり、うち5人が感染経路不明とのこと

 目下のリバウンドの主要因はソーシャルディスタンス措置の緩和を受けての人流や会合機会の増とされている。

 当局は17日夕方の会見で、現在市中における伝播リスクが増大しており、この先数週間は防疫に注意を要するとし、家族を跨ぐ会合などを避けるよう呼びかけた。また、17日には警察で20人の感染が明らかとなり、同日、政府が職員に対する迅速抗原検査の実施を強化する方針を示した。

 このほか、香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は17日午後に会見を開き、単日の感染確認数が再び1千人超となったことについて、社交活動の緩和を受けてのもので、想定の範囲内とコメント。また、経口治療薬で重症化を避けることができ、社会的需要と市民の許容度を考慮し、現時点でソーシャルディスタンス措置を引き締める必要はないとの考えを示した。

 6月16日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.4%(1回目の接種完了)、88.0%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。16日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は2万0278回で、7日移動平均は2万1035回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(75.08%)、70〜79歳(81.48%)、80歳以上(68.48%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

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