香港の新型コロナ新規感染確認者数が2日連続3千人超…当局が最悪の事態想定した準備進める=7/14

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が7月14日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から474人増の3417人、輸入性は46人増の257人だった。

 輸入性の発見場所・時期については空港での検査が117人、指定ホテルでの隔離検疫期間中が119人、隔離検疫期間満了後市中に出た後が21人。

 市中と輸入性の合計は前日から520人増の3674人で、2日連続3千人超。第5波開始以来の累計感染確認数は約127.1万人。

 新規の死亡報告数は5人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9214人に。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。状況を踏まえ、ソーシャルディスタンス措置の一層の緩和は見合わせとなっており、少なくとも7月27日までは現状維持が決まっている。

 14日の学校からの陽性報告数は292校の355人(生徒285人、教職員70人)。過去7日間で2人以上の陽性者が出現した学校の数は160校に上った。6月中旬以降は対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホームからの陽性報告も相次ぎ、小規模なクラスターも出現している。

 当局は会見の中で、リバウンドが続く中、最悪の事態を想定して最適な準備を進める方針を示した。医管局ではすでに新型コロナ患者を収容するための病床御調整に着手したという。また、当局は13日、深圳湾、港珠澳大橋、空港から中国本土またはマカオへ向かう旅客に対し、PCR検査の結果が陽性となった場合、即時に隔離命令を発し、コミュニティ隔離施設へ移送する新措置を即時適用すると発表。

 7月13日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.8%(1回目の接種完了)、89.0%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。13日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万0698回で、7日移動平均は1万2777回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(76.41%)、70〜79歳(81.97%)、80歳以上(69.52%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港の町並み(資料)—本紙撮影

香港の町並み(資料)—本紙撮影

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