香港の新型コロナ新規感染確認者数が14日連続4千人超…当局「体調不良を感じたら速やかに検査と医療機関受診を」=8/3

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が8月3日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から432人増の4321人、輸入性は8人減の226人だった。

 輸入性の感染例の発見に至った検査地点・タイミングは空港が118人、隔離検疫ホテルが68人、隔離検疫期間を満了して市中に出た後が40人。10人以上となった国・地域別は、英国(43人)、インド(31人)、フィリピン(23人)、米国(17人)、シンガポール(16人)、タイ(12人)。

 市中と輸入性の合計は前日から424人増の4547人。14日連続4千人超となった。第5波開始以来の累計感染確認数は約135.4万人。

 新規死亡報告数は4人で、年齢は84〜89歳。第5波開始以来の累計死亡者数は9311人に。

 直近の公立病院の入院患者数(新型コロナ感染者)は1533人で、新規入院が164人とのこと。容体は危篤が20人、深刻が24人など。医管局では、入院患者数の増加に伴い、公立病院で一部病床の調整(一般病床をコロナ患者用に配分)するとし、条件に合う患者を市立病院へ転院させる措置を講じることもあるとした。また、市民に対して、体調不良を感じた際には速やかに迅速抗原検査を行う、あるいはPCR検査を受け、医療機関を受診するよう呼びかけた。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。3月下旬以降に一旦流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。こうした状況や6月中旬以降のリバウンドを踏まえ、ソーシャルディスタンス措置の一層の緩和は見合わせが続いており、少なくとも8月10日までは現状維持が決まっている。一方で、入境時に求める検疫措置の調整(緩和)について各種データの検証が行われているという。

 3日の学校からの陽性報告数は330校の356人で、内訳は生徒356人、教職員81人。過去7日間で2人以上の陽性者が出現した学校の数は228校に上った。6月中旬頃からは対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホーム、医療機関からの陽性報告も相次いでおり、小規模なクラスターも出現している。

 8月2日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は93.0%(1回目の接種完了)、89.6%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。2日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万1897回で、7日移動平均は1万2329回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(77.49%)、70〜79歳(82.2%)、80歳以上(69.95%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

 当局は、オミクロンBA.4あるいはBA.5、またBA.2.12.1の感染例が緩やかな増加傾向にあるととのデータを示した上、現有のワクチンは重症化及び死亡リスクの軽減につながると述べた。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

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