マカオ、2022年11月のカジノ売上は対前年55.6%減の約511億円…4ヶ月ぶり下落に転じる、1〜11月累計50.9%減

 マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は12月1日、今年(2022年)11月のマカオの月次カジノ売上(粗収益、Gross Gaming Revenue=GGR)について、前年同月から55.6%減、前月から23.1%減の29.99億パタカ(日本円換算:約511億円)だったとする最新統計を公表。

 前年同月比では9ヶ月連続のマイナス、対前月では4ヶ月ぶりにマイナスとなった。コロナ前の2019年同月からは86.9%減。

 すでに中国本土とマカオの間では条件付きで隔離検疫免除での相互往来が再開されているが、今年に入って以降、中国各地で再流行が深刻化したことを受けて水際措置の強化や移動制限が講じられるなどした結果、マカオにおける中国本土からのインバウンド旅客数が低迷し、カジノ売上に影響が及んでいるとされる。

 マカオ域内では今年6月中旬まで約8ヶ月にわたってゼロコロナ状況を維持していたが、6月18日から市中でオミクロンBA.5のアウトブレイクが発生したことを受け、中国本土との間の水際措置が大幅に引き上げられると同時に、域内でも極めて厳格な防疫措置が講じられた。中でも、7月11日から12日間は特別防疫措置として「社会相対静止」が実施され、カジノ施設を含む経済活動の大半がストップ。これと前後して、一部カジノ施設が局地ロックダウンの対象となる例もあった。8月初旬までにアウトブレイクは落ち着き、防疫措置についてもほぼ6月18日以前の水準に復帰したが、このところ中国本土各地で比較的大規模なリバウンドが発生していることなどもあり、本格的に旅客が戻る状況には至っていない。

 11月の営業日は30日間で、10月より1日短い。今年11月の1営業日あたりの平均売上は前月から約21%減の1.00億パタカ(約17.0億円)。新型コロナの影響が生じて以降では、今年7月の0.13億パタカ(約2.2億円)及び2020年第2四半期の0.23億〜0.56億パタカ(約3.9億〜9.5億円)が底。

 今年1〜11月累計のカジノ売上は前年同時期から50.9%減の387.16億パタカ(約6591億円)。変動率は前月時点から0.4ポイント拡大(悪化)。

 マカオ政府の2022年度財政予算における当初カジノ売上見込みは1300億パタカ(約2兆2127億円)で、11月終了時点の進捗率は29.8%。なお、前年も同額の見込みだったが、大幅未達(66.8%)だった。

防疫対策を講じた上で営業を続けるマカオのカジノ。ディーラーによるチップ消毒作業の様子(資料)=2022年6月(写真:GCS)

【資料1】2022年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:63.44億パタカ=約1080億円(20.9%減)
・2月:77.59億パタカ=約1321億円(6.1%増)
・3月:36.72億パタカ=約625億円(55.8%減)
・4月:26.77億パタカ=約456億円(68.1%減)
・5月:33.41億パタカ=約569億円(68.0%減)
・6月:24.77億パタカ=約422億円(62.1%減)
・7月:3.98億パタカ=約68億円(95.3%減)
・8月:21.89億パタカ=約373億円(50.7%減)
・9月:29.62億パタカ=約504億円(49.6%減)
・10月:38.99億パタカ=約664億円(10.7%減)
・11月:29.99億パタカ=約511億円(55.6%減)
>1〜11月累計:387.16億パタカ=約6591億円(50.9%減)

【資料2】2013年〜2021年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億パタカ=約6兆1437億円(18.6%増)*ピーク時
・2014年:3515.21億パタカ=約5兆9866億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億パタカ=約3兆9290億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億パタカ=約3兆7991億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億パタカ=約4兆5231億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億パタカ=約5兆1546億円(14.0%増)
・2019年:2924.55億パタカ=約4兆9777億円(3.4%減)
・2020年:604.41億パタカ=約1兆0287億円(79.3%減)
・2021年:868.63億パタカ=約1兆4785億円(43.7%増)

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