中国・珠海イミグレ、ニセ航空券使ったマカオ渡航を制限=トランジット滞在制度の裏技撲滅へ

マカオではマカオを経由して第三国へ渡航するための「トランジット滞在」を認めており、入境時に当該国が発給したビザを添付したパスポート及びフライトのEチケットを提示することでマカオに5日間の滞在ができる。

中国本土籍の旅客がマカオを訪れる際、「自由行」と呼ばれる個人旅行ビザを取得するのが一般的だが、一定期間内の渡航回数などに制限が設定されている。しかし、トランジット滞在制度はこういった制限の影響を受けない「裏技」の入境方法として広く認知され、実際に利用されてきた。

マカオ警察当局の資料によると、昨年約210万人の中国本土旅客が第三国、地域のビザを添付した中国パスポートを利用してマカオに入境したというが、うち8割が実際にはビザ発給国、地域へ渡航せず、マカオ滞在のためだけに利用されたことがわかっており、本来の目的と違った形で利用されている状況がある。

マカオ警察当局では、今年(2014年)7月から、このトランジット制度を利用したマカオ滞在期間を従来の7日間から2日減の5日間に短縮。また、第三国、地域へ渡航しなかった場合、60日以内(従来30日)の再入境時の滞在期限は1日とし、この場合に60日以内の3度目の入境は認めない新措置を導入した。

12月2日付地元有力紙「澳門日報」によると、マカオに隣接する中国・珠海の拱北(ゴンベイ)イミグレーションで、12月1日から、この制度を利用してマカオへ向かう旅客に対し、Eチケットの真贋の検査が実施されるようになったと報じている。具体的には、パスポートとビザ、航空券の組み合わせで出境する旅客の専用レーンを設け、係員が座席予約がきちっと入っていることを確認しているという。これまで通用していたニセ航空券での出境が不可能となったようだ。

同紙が係員に取材を行ったところ、およそ100人の旅客が出境を認められなかったという。1日通算ではおよそ1000人が出境できなかった模様だ。珠海イミグレーションによると、今年7月1日からトランジット滞在を利用したマカオ滞在日数が短縮されて以来、同制度の利用者は減少傾向にあるが、それでも「裏技」を使ったマカオ渡航が絶えないという。間もなくマカオ返還15周年を迎えることもあり、当局ではより手続きの厳格化を実施しているとした。

珠海・拱北イミグレーションに隣接するショッピングモールでは、これまでトランジット滞在制度を利用する旅客向けのビザや航空券の代理業者が林立していたが、ニセ航空券を扱う業者はすっかり姿を消しているという。

中国本土からマカオを訪れるカジノVIP客や、VIP客をエスコートする仲介人がこの制度を多数利用していることから、12月以降のカジノ売上にマイナス影響を及ぼす可能性もありそうだ。

珠海・拱北イミグレーション(資料)―本紙撮影

珠海・拱北イミグレーション(資料)―本紙撮影

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