マカオ当局、VIPカジノ規制を厳格化=ギャンブラー世話役に無犯罪証明書提出義務付け

今年(2014年)6月以降、マカオの月次カジノ売上が6か月連続で前年割れとなっており、特に中国本土の富裕層を顧客基盤とするVIPカジノ部門の苦戦が目立つ。

地元有力紙「澳門日報」など複数の地元メディアが近日相次いで報じた内容を総合すると、マカオ政府でカジノ行政を管轄する博彩監察協調局が12月19日、ジャンケットと呼ばれるVIPカジノの仲介業者に対し、顧客のギャンブラーへチップの両替や宿泊、交通の手配などのサポートサービスを提供する仲介パートナーを登録する際、犯罪記録証明書提出の徹底を求める通達を行ったとのこと。犯罪記録証明書の提出は2008年から必須条件とされてきたが、これまで当局による強制措置はなかったという。通達によると、来年(2015年)1月1日から厳格な運用を行い、「無犯罪」の者だけが当該業務に従事できるとしている。なお、登録時には、無犯罪証明書のほか、本人のバックグラウンドに関する資料、顔写真の提出も必要となる。

マカオ居民(マカオ居留権保有者)は、ICカード付き身分証を使って容易に犯罪記録証明書を用意することができるが、中国本土出身者の場合、本土の関連部門で手続きを行う必要があるという。マカオのVIPカジノを訪れるギャンブラーの大半が中国本土の富裕層とあり、カジノ仲介パートナーも中国本土出身者が多い。中国本土の犯罪記録証明書取得手続きは煩雑で、取得までに時間もかかることから、VIPカジノ業務に及ぼす影響は大きいとされる。現在、マカオには仲介業者が200社、仲介パートナーが5000人程度いるとのこと。

マカオのカジノをめぐっては、今年に入ってマカオ当局による締め付け施策が次々と導入されたほか、中国本土における綱紀粛正ムードの高まりなどを受け、これまで急成長してきたカジノ売上に急ブレーキがかかった。

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

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