中国本土ドライバーによる香港免許への書き換え申請激増=「世界中で運転できる」とデマ拡大で

海外旅行先でレンタカーを利用するため国際免許証を取得したという話を聞くことがある。国際免許証とは、自身が運転免許を所有する国や地域以外で自動車の運転を可能にするもので、道路交通に関する条約(ジュネーブ交通条約)締結国・地域間相互において有効となる。

日本の警察庁の資料によると、ジュネーブ条約締結国は95、地域は2となっている。このうち、2つの地域は中国の特別行政区にあたる香港とマカオだ。しかし、中国(本土)は締結国に含まれていない。

近年、中国本土では富裕層を中心に自家用車の所有が広がっているほか、海外旅行熱も高まっている。海外旅行へ出かける際、現地でレンタカーを運転してみたいと考える人も増えているようだ。

香港の日刊紙「アップルデイリー」が10月20日に電子版で報じた記事によると、上のような事情を踏まえ、昨今、中国本土では「香港免許を取れば世界中で運転できる」などとする情報がネット上で駆け巡っているという。中国本土と香港特別行政区の間で、運転免許証の相互書き換え制度が存在することが背景にある。中国本土の運転免許を持つ人は、無試験で香港の正式免許を取得することができ、第三者による代理申請も可、香港の住所も要らないとのこと。実際の香港免許の取得費用は10年ライセンスで900香港ドル(日本円換算:約1万4000円)だが、申請代行費や手続きの際に必要となる連絡先住所の提供の名目で高額な料金を上乗せして請け負う代理業者も出現しているという。具体的には中国本土免許から香港免許への書き換え申し込み件数は2014年に8年前の2倍にあたる約3.5万件まで増えたとする統計もあるとのこと。

実際には、香港免許だけで世界中で運転できるわけではない。あらかじめ香港免許をベースに、香港発行の国際免許を取得する必要がある。なお、香港で国際免許証を取得するには、香港居民身分証(香港住民カード)の保有が義務付けられていることから、香港住民カードを持たない中国本土ドライバーは、仮に香港免許の書き換えを行ったとしても、お目当ての国際免許証を手にすることはできない。中国本土の公安当局、香港の運輸当局は不正確な情報にまどわされないよう呼びかけているという。

香港の自動車運転免許証(資料)—本紙撮影

香港の自動車運転免許証(資料)—本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  2.  アフターコロナ初年となったマカオの昨年(2023年)通期のカジノ売上(粗収益、Gross Gam…
  3.  マカオ・コタイ地区にある統合型リゾート(IR)ギャラクシーマカオのイーストスクエアで4月24日、…
  4.  マカオ治安警察局は4月24日、同月22日に路線バスの車内で乗り合わせていた20代の女性の臀部に下…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月24日、マカオ半島新口岸地区にあるマカオグランプリ博物館でレゴ…

ピックアップ記事

  1.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  3.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  4.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  5.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun