マカオ政府、市民に約4万円分の電子商品券配布へ…新型コロナ終息後の地元経済活性化策=各種経済対策の総予算は約3689億円見込む

 中国・湖北省武漢市で集中発生している新型コロナウイルスによる肺炎について、世界各地で感染拡大に対する懸念が高まる中、中国本土からのインバウンド旅客が多いマカオでも、官民の間で各種防疫対策が進んでいる。

 マカオにおいては基幹産業として知られるカジノの一時休業を含む厳格な防疫対策が講じられる中、経済活動は大きく停滞している。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染対策センターは2月13日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。李偉農(レイ・ワイノン)経済財政長官が広範囲に及ぶ各種経済支援策を発表。以下、大多数の市民が目に見えるかたちで実感できるものを抜粋して紹介する。

 まず、地元経済を活性化させる目的で、新型肺炎流行の終息後、マカオ居民(マカオ居留権保有者)1人あたり3000マカオパタカ(日本円換算:約4万1000円)分の電子商品券が配布される。地元の飲食店、小売店、生活雑貨店等が対象で、消費額の上限は1日あたり300マカオパタカ(約4100円)まで、使用期限は3ヶ月以内。また、家庭用電気及び水道料金について、今年(2020年)3〜5月分が全額補助される。さらに、職業税(個人所得税に相当)についても、納付済みの2018年度分を7割返金、今年度(2020年度)の控除範囲が25%から30%に引き上げられる。なお、今年7月からマカオ居民に支給される予定だった現金配布については、すでに支給時期を4月に前倒すことが発表済み。現金配布の支給額は永久性居民(永久居留権保有者)が1万マカオパタカ(約13万7000円)、非永久性居民(臨時居留権保有者)が6000マカオパタカ(約8万2000円)。

 李長官によれば、各種経済対策にかかる予算規模は、現金配布を含めて270億マカオパタカ(約3689億円)超、現金配布を除くと約200億マカオパタカ(約2732億円)に上る見込みとのこと。

2月13日夕方に開催されたマカオ政府新型コロナウイルス感染対策センターによる定例記者会見。左から5人目が李偉農経済財政長官(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染対策センター)

 このほか、政府新型コロナウイルス感染対策センターによれば、過去9日間マカオで新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。これまでの累計患者数は10人で、最初の7人が武漢からの旅客、直近の3人がマカオ人。このうち13日までに武漢からの旅客3人が治癒し退院済み。残る7人についても軽症という。

 同センターでは、近日マカオ半島北部の一部エリアにおいて多くの市民が街に出ている姿が確認されているとし、地域社会における感染拡大リスクを軽減させるため、市民に対して家の中に留まること、外出を控えること、人の集まりを避けること、外出時にはマスクを着用すること、手洗いをしっかりとすることなど、政府の防疫指針に引き続き協力するよう呼びかけた。

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