マカオ、市民向けマスク有償配給を現時点で4月末頃まで維持できる見通し…毎日1人1枚ずつ割り当て

 中国・湖北省武漢市での集中発生に端を発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、世界各地で感染が拡大する中、国際観光都市マカオでも、状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオでは、政府が防疫対策の一環として今年1月下旬からマスクの着用を呼びかけてきた。公共路線バスやタクシーを利用する際、役所、銀行、小売店、飲食店まで、マスク着用を必須とするところがほとんどだ。マカオの街では、マスクを着用していない人を見かけるのは非常に稀となっている。

 マカオでもマスクが品薄となっているが、市民がマスクを入手できるのには理由がある。マカオ政府は1月下旬にマスク着用を呼びかけると同時に、市民が確実にマスクを入手できるよう有償配給制度を立ち上げたからだ。

 制度の立ち上げにあたり、まず政府が抱える在庫の放出と世界各地からの調達を通じて、2000万枚を確保。その後も調達を続けているという。政府衛生局の定めた基準をクリアする商品の確保は困難を極める作業というが、コストを惜しまずというスタンスで、現時点まで具体的な費用は明らかにされていない。

 マスクの有償配給はマカオ市民(マカオ居民及び就労ビザ保有者)を対象とし、1人あたり10枚1組を政府が定めた原価とされる8マカオパタカ(日本円換算:約110円)で公立クリニックや薬局等の特設窓口で販売するもの。1回を10日間とし、現在は第7回(3月23日から10日間)が実施されている。第6回までの累計配給枚数は3400万枚に上ったとのこと。

 李偉農(レイ・ワイノン)マカオ経済財政長官は3月26日のマカオ立法会における2020年度改正予算案の審議に出席した際、マスクの有償配給を現時点で第10回まで実施できる見通しであることを明らかにした。4月末頃までは維持できるということを意味する。李長官は、毎日1人1枚ずつマスクが割り当てられるというのは非常に贅沢なことであるとし、防疫対策の前線を担当する職員、特に夜遅くまでインターネットを駆使して世界中からマスクの確保を担当する部門を称賛した議員らに対し、感謝の意を表した。なお、第11回目以降の実施の有無については、今後の流行の状況やマスクの調達状況次第になるとみられる。

マカオ立法会でマスク有償配給制度について語る李偉農経済財政長官(上段中央)=2020年3月26日(写真:GCS)

 世界的に流行が拡大する中、マカオ政府は輸入症例に対する警戒を強めており、3月中旬以降、水際対策の強化が進んでいる。25日からは、1)マカオ居民:入境可能だが、過去14日以内に外国、香港、台湾滞在歴がある場合、政府指定場所における14日間の隔離検疫の対象。2)外国人:入境禁止。3)中国本土・香港・台湾居民:過去14日以内に外国滞在歴がある場合は入境禁止。4)中国本土・香港・台湾居民:過去14日以内に香港または台湾滞在歴がある場合は入境可能だが政府指定場所における14日間の隔離検疫の対象。5)中国本土・香港・台湾居民:過去14日以内に外国、香港、台湾の滞在歴がない場合は入境可だが高流行エリア(広東省、河南省、浙江省、重慶市、北京市、上海市)からの入境については医学検査ステーションにおいて医学検査を受けることが必須。6)過去14日以内に湖北省に滞在した非マカオ居民または中国本土籍のブルーカード保有者は入境にあたって新型コロナウイルス未感染証明書の提出が必須となり、「ほぼボーダー封鎖」ともいえる厳格な措置が講じられている。上記のほか、マカオ国際空港におけるトランジット(乗り継ぎ)サービスも中止になった。

 本稿執筆時点(3月27日午前11時)のマカオにおける累計患者数(感染確認)は33人。2月4日までに武漢からの旅客が7人、マカオ人が3人の感染が確認されて以降、40日間にわたって新規感染確認ゼロが続いたが、以降は中国以外からの輸入症例が23例相次いでいる。2月4日以前の感染確認者については、3月6日までに全員が治癒し退院済み。目下、23人が指定医療機関となる仁伯爵綜合醫院あるいはコロアン島の公共衛生臨床センターの陰圧病室で入院治療を受けている。

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