マカオ、3月のカジノ売上対前年8割減の約714億円…新型コロナ防疫対策によるインバウンド旅客減響く=1〜3月累計では6割減

 マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は4月1日、今年(2020年)3月のマカオの月次カジノ売上(Gross Gaming Revenue=GGR)について、前年同月から79.7%減、前月から69.4%増となる52.57億マカオパタカ(日本円換算:約714億円)だったとする最新統計を公表した。

 対前年の主なマイナス要因として、新型コロナウイルス感染症防疫対策の一環で1月下旬から現在に至るまで入境制限を含む厳格な防疫対策が講じられており、インバウンド旅客数が激減していることが挙げられる。対前月で上昇したことについては、2月5日から19日までの15日間にわたってすべてのカジノ施設が休業したことの反動。ただし、1営業日あたりの平均売上は2月と比較して3月の方が少なかった。

 今年1〜3月累計のカジノ売上は前年同時期から60.0%減の304.86億マカオパタカ(約4138億円)で、マイナス幅は前月終了時点から10.1ポイント拡大。

 DICJはカジノの再開にあたり、運営会社に対して従業員及びゲストの健康を最大限保護することなどを求めており、ゲスト及び従業員のいずれも入場時に体温検査、マスクの着用、健康申請書の提出が義務付けられる。マカオ入境前14日以内に湖北省滞在歴がある場合は入場できない。また、ゲーミング(カジノ)テーブル間の距離の確保、テーブルゲームでは隣席を空ける対応(例えばバカラテーブルでは1テーブルに同時に着席できるのは3〜4人)、スロットマシンについても1台または2台おきの稼動と定められ、交差感染リスク軽減が図られている。チップ等のゲーミング用品に対する消毒も強化実施されている。再開したといっても、あくまで限定的ものだ。

 DICJが3月19日に発表した内容によれば、同日までにマカオに41あるカジノ施設のうち、38施設が再開したとのこと。上述の防疫施策への対応に伴い、同日までに再稼働したゲーミングテーブル数は約5400台で、総認可台数の80%に相当する。3月9日時点では3100台、46%だったことから、ハード面では着々と元の水準に回復しつつある状況がうかがえる。

 一方、3月後半以降、政府は新型コロナの外国からの流入に対する警戒を強めており、水際対策が一層強化された。今後しばらくの間、インバウンド旅客数は相当の減少が見込まれる。

 マカオの月次カジノ売上は2014年6月から2016年7月まで26ヶ月連続で前年割れだったが、2016年8月から2018年12月まで29ヶ月連続で対前年プラスを維持。その後、2019年は1、3、4、7、8、10、11、12月がマイナス、2、5、6、9月がプラスだった。なお、2019年通期のカジノ売上は対前年3.4%減の2924.55億マカオパタカ(約3兆9698億円)。3年ぶりに前年割れとなり、2年ぶりに3000億パタカの大台も下回った。

厳格な防疫措置を講じた上で再開したマカオのカジノの様子(写真:DICJ)

【資料1】2020年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:221.26億マカオパタカ=約3003億円(11.3%減)
・2月:31.04億マカオパタカ=約421億円(87.8%減)
・3月:52.57億マカオパタカ=約714億円(79.7%減)
>1〜3月累計:304.86億パタカ=約4138億円(60.0%減)

【資料2】2013年〜2019年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億マカオパタカ=約4兆8951億円(18.6%増)
・2014年:3515.21億マカオパタカ=約4兆7705億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億マカオパタカ=約3兆1327億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億マカオパタカ=約3兆0292億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億マカオパタカ=約3兆6064億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億マカオパタカ=約4兆1099億円(14.0%増)
・2019年:2924.55億マカオパタカ=約3兆9698億円(3.4%減)

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