マカオ政府、10回目の市民向けマスク有償配給実施…10日分10枚で約110円、累計販売枚数5250万枚=少なくとも5月中旬までは継続へ

 中国・湖北省武漢市での集中発生に端を発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、世界各地へ流行が拡大する中、国際観光都市マカオでも、状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオでは、政府が防疫対策の一環として今年1月下旬からマスクの着用を呼びかけている。公共交通機関をはじめ、役所、銀行、小売店、飲食店など、利用にあたってマスク着用を必須とするところがほとんど。マカオの街では、マスクを着用していない人を見かけるのは非常に稀となっている。

 マカオ政府は1月下旬にマスク着用を呼びかけると同時に、まず政府が抱える在庫の放出と世界各地からの調達を通じて2000万枚を確保した上、すべての市民が1人1日1枚のマスクを確実に入手できるよう有償配給制度を立ち上げた。その後もマスクの調達は続けられているという。

 マスクの有償配給はマカオ市民(マカオ居民IDカード保有者と就労ビザ保有者)を対象とし、1人あたり10枚1組を政府が定めた原価とされる8マカオパタカ(日本円換算:約110円)で公立クリニックや薬局等の特設窓口で販売するもの。これまで10日おきに9回実施された。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは4月21日、第10回のマスク有償配給を22日から10日間にわたって実施すると発表。割当枚数と売値は前回までと同様とした。同センターによれば、第9回の配給枚数は約600万枚、第1回から9回までの累計配給枚数は約5250万枚に上ったとのこと。

 同センターによれば、すでに第11、12回(時期にして5月中旬頃にあたる)までの有償配給を実施するメドが立っているとのこと。ただし、有償配給は永久的な措置ではなく、市場にマスクが十分に供給される状況となった場合など、廃止の是非を判断するとした。

 マカオの現状として、有償配給もあり個人レベルでのマスクの需要は満たされていると言える。有償配給品と比較すれば高価ではあるものの(1箱50枚入りのもので2000円前後)、近日では薬局やスーパー等の店頭でマスクを見かける機会も多く、アルコール消毒液といった防疫グッズの供給が安定してきた印象だ。

マカオ政府が市民向けに有償配給するマスクの仕分け作業の様子=2020年4月1日(写真:DSEJ)

 マカオでは1月下旬から入境制限を含む厳格な防疫対策が講じられている。これによってインバウンド旅客数は激減し、経済的に大きな打撃を受けている。マカオ政府では、マスクの有償配給のほか、大規模な居民及び企業(主に中小企業)向けの経済支援策も矢継ぎ早に打ち出している。居民(マカオ居民IDカード保有者)向けでは、現金配布(1人あたり約14万円)及び電子商品券の配布(1人あたり2回合計約11万円分)、家庭用公共料金(電気・水道)3ヶ月間全額補助、所得税減税などがあり、幅広い層が恩恵を受ける。

 本稿執筆時点(4月22日午前9時)のマカオにおける累計患者数(感染確認)は45人。3月15日まで40日連続新規感染確認ゼロを記録したが、以降は外国からの帰国ラッシュもあり35人増えた。初期の患者10人は武漢からの旅客7人とマカオ居民(「マカオIDカード」保有者)3人で、3月6日までに全員が治癒し退院済み。3月中旬以降に確認された患者35人については、すべて中国以外の外国からの輸入性症例または輸入関連症例となっている。また、これまで市中感染例はない。35人のうち14人が治癒し退院済みで、残る21人が指定医療機関となる仁伯爵綜合醫院あるいはコロアン島の公共衛生臨床センターの陰圧病室で入院治療中。4月9日以降、14日連続で新規感染確認ゼロとなっている。

4月21日午後に開催されたマカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

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