マカオカジノ運営6陣営の19年通期業績出揃う…純利益合計約5500億円超

 マカオカジノ規制当局にあたるDICJ(政府博彩監察協調局)公表資料によれば、昨年通期(2019年1〜12月)のカジノ売上(Gross Gaming Revenue=GGR)は前年から3.4%減の2924.55億マカオパタカ(日本円換算:約3兆9060億円)だった。

 VIPルームによる売上を反映するVIPバカラ売上が18.6%減の1352.28億マカオパタカ(約1兆8061億円)、カジノ売上に占めるVIPの割合は8.6ポイント下落の46.2%となり、第1四半期から4四半期連続で過半数を割り込んだ。一方、マスゲーミング(いわゆる平場)のバカラ売上は17.9%増の1207.73億マカオパタカ(約1兆6130億円)。マスのバカラ売上は2015年から5年連続で伸長しており、VIPからマスへのシフトが進んでいることが伺える。

 マカオのカジノ施設は、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ6つの民間事業者によって運営されている。このほど、6陣営の昨年通期の業績発表が出揃い、4月22日及び29日付のマカオ政府公報に掲載された。2社が増収、4社が減収だったが、いずれも多額の黒字を計上しており、6陣営の純利益合計は413億マカオパタカ(約5516億円)にも上った。6陣営業績ダイジェストは下記の通り。

 マカオ半島を主な拠点とし、「リスボア」ブランドのカジノ施設を展開することで知られるSJMホールディングス社の純売上は349億マカオパタカ(約4661億円)で、このうちカジノ売上は1.5%減の342億マカオパタカ(約4568億円)。調整後EBITDAは7.9%増の41億マカオパタカ(約548億円)、税引後純利益は36億マカオパタカ(約481億円)。また、グループ全体の税引後純利益は33億マカオパタカ(約441億円)。

 マカオ半島で「スターワールド」、コタイ地区で「ギャラクシーマカオ」などの大型IRを展開するギャラクシーカジノ社(ギャラクシーエンターテインメントグループ=GEG)の純売上は6%減の505億マカオパタカ(約6746億円)、純利益は3%減の137億マカオパタカ(約1830億円)。

 マカオ半島で「サンズマカオ」、コタイ地区で「ヴェネチアンマカオ」、「サンズコタイセントラル」、「パリジャンマカオ」などの大型カジノIRを展開するヴェネチアンマカオ社(サンズチャイナ)の純売上は711億マカオパタカ(約9497億円)、純利益は4.9%増の168億マカオパタカ(約2244億円)。

 マカオ半島で「ウィンマカオ」、コタイ地区で「ウィンパレス」の大型IRを展開するウィンリゾーツ(マカオ)社の純売上は8.7%減の372.5億マカオパタカ(約4976億円)で、このうちカジノ売上は9.5%減の351.2億マカオパタカ(約4691億円)。調整後プロパティEBITDAは12.6%減の97億マカオパタカ(約1296億円)、純利益は58.68億マカオパタカ(約784億円)。

 マカオ半島で大型IR「MGMマカオ」、コタイ地区で「MGMコタイ」(18年2月開業)を展開するMGMグランドパラダイス社(MGMチャイナホールディングス)の純売上は18.6%増の198億マカオパタカ(約2645億円)、調整後EBITDAは27.2%増の63億マカオパタカ(約842億円)、純利益は165.7%増の21億マカオパタカ(約281億円)。前年第1四半期に開業したMGMコタイ分が上乗せとなったかたち。

 コタイ地区で大型IR「シティ・オブ・ドリームズ マカオ」及び「スタジオ・シティ マカオ」、タイパ島で「アルティラマカオ」、マカオ半島を中心に「モカ・クラブ」ブランドでスロット専門カジノを展開するメルコリゾーツ(マカオ)社(メルコ・リゾーツ&エンターテインメント)の純売上は11%増の47億米ドル(約5007億円)、純利益は12%増の6.4億米ドル(約682億円)。

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

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