マカオの新型コロナ入院患者45人全員が無事退院、死亡例なし=41日連続で新規感染確認ゼロ

 中国・湖北省武漢市での集中発生に端を発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、世界各地へ流行が拡大する中、国際観光都市マカオでも、状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは5月19日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同センターによれば、直近24時間以内に新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。マカオにおける直近の新規感染確認は4月8日のことで、実に41日連続で新規感染確認ゼロとなり、2〜3月中旬にかけて記録した「40日連続」を上回った。輸入関連性症例に限ると52日連続ゼロ。また、同日新たに1人(留学先の英国から戻った(途中1週間香港に滞在)マカオ居民の15歳の女性1人)が治癒し退院したことも明らかにした。入院期間は66日間。累計退院者数は45人となり、3月7〜14日にかけて以来、新型コロナ流行下で2度目の入院患者ゼロ状態に入った。

 マカオでは1月末から2月初旬にかけて10人の感染が確認された後、3月15日まで40日連続新規感染確認ゼロを記録したが、以降は外国からの帰国ラッシュもあり、4月8日までに35人増え、感染確認者の累計45人(輸入性症例が43人、輸入関連性症例が2人)となった。マカオでは無症状であっても検査で陽性であれば感染確認者と見なされ、指定医療機関に入院して治療を受けることになっている。初期の患者10人は武漢からの旅客7人とマカオ居民(「マカオIDカード」保有者)3人で、3月6日までに全員が治癒し退院済み。3月中旬以降に確認された患者35人についても、すべて中国以外の外国からの輸入性あるいは輸入関連性症例で、その多くがマカオ到着時のイミグレーション施設における検疫、あるいはマカオ到着後の隔離下における医学観察期間中に発見されており、これまでのところ市中感染例はない。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見=2020年5月19日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 マカオの指定医療機関(2施設)には陰圧病床が232床あり、人工呼吸器72台、人工心肺装置(ECMO)3台を擁し、設備、医療スタッフとも充足している。退院後も再発症リスクを考慮して隔離施設(高頂公共衛生臨床センター)の陰圧病室で14日間の経過観察、その後も14日間の自宅待機を必須とする措置が講じられている。ここまで死亡例、院内感染例もゼロを達成している。

 マカオ政府衛生局の李展潤局長は記者会見の中で、入院患者全員が無事に退院し、死亡例及び院内感染がなかったことを誇りに思うとし、マカオのすべての医療関係者、社会各界の協力に感謝の意を表した。また、マカオは新型コロナ「超低リスクエリア」であるとの認識も示した。ただし、海外、特にロシアやインドにおいて新規確認例が増加していることを挙げ、マカオが依然として(流入事案の)脅威に晒されていることに変わりはなく、今後しばらくの間、現行の防疫措置を維持する必要があるとした。

 マカオでは今年1月下旬以降、入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられている。海外からの輸入症例を阻止するため、3月後半以降、水際対策が一層強化され、現在まで維持されている。市民生活は不便を余儀なくされ、インバウンド旅客の激減に伴う経済への打撃も大きい。マカオ政府は水際対策と同時に、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう1月下旬にマスク有償配給制度の立ち上げ、毎年恒例で実施している市民への現金配布の前倒し実施や電子商品券の配布といった民生、経済支援対策も実施している。

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