マカオの観光市場、新型コロナ前水準への回復は2023年頃…旅遊局長が見通し示す

 マカオでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として1月下旬から入境制限が講じられており、流行が世界へ拡大したことに伴い3月下旬から水際対策が一層強化された。国際観光都市マカオはかつてない逆風に晒されている。

 1〜5月累計のインバウンド旅客数は前年同時期から81.1%減の324万6344人。このうち中国本土旅客は81.0%減の230万3729人で、全体に占める割合は71.4%。

 参考までに、昨年通期のインバウンド旅客数は前年から10.1%増の3940万6181人に上り、3年連続で過去最多を更新。中国本土旅客が占める割合は約7割だった。

 マカオ政府旅遊局のマリア・エレナ・セナ・デ・フェルナンデス局長は6月17日に政府系放送局TDMの時事番組にゲスト出演し、マカオの観光業界の現状と今後の見通しについて見解を述べた。

 フェルナンデス局長は、マカオの観光業の現状について、市街地や観光名所周辺に観光客の姿が見られず、今年に入って以降の1日あたりインバウンド旅客数はボトム時に200人以下、最近ではようやく1000人超まで戻してきたが、ホテル客室稼働率はわずか1割にとどまっており、これまで経験したことのない状況にあると総括。2003年のSARS時のホテル客室稼働率は3割程度だったが、当時のホテル客室総数は現在と大きな違いがあるとした。また、新型コロナ前の旅行規模及びスタイルに回復するのは2023年頃になるとの見通しを示した。

 マカオ政府では、短期的にインバウンド旅客が見込めない中、地元旅行社に対する支援策の一環として、マカオ居民を対象とした域内旅行キャンペーンを6月17日から9月30日まで展開。半日程度のツアーを15コース用意し、参加費用の一部を補助する。このほか、周辺地区(広東省及び香港)、さらには複数の国の衛生当局と連携を密にしながら、一定の条件下での旅客の往来の再開についても検討しているとのこと。

入境制限を含む厳格な新型コロナ防疫対策の影響でインバウンド旅客が激減したマカオ。写真は観光名所、世界遺産・セナド広場=2020年2月26日本紙撮影

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