マカオ、新型コロナ新規感染確認ゼロ記録78日で途切れる…在外居民の帰国ピーク迎える中

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大する中、国際観光都市マカオでも、状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月26日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同日未明に78日ぶり、累計46人目の新型コロナウイルス感染例が確認された件について、患者に関する詳細を明らかにした。

 患者はフィリピンから帰国したマカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)のエンジニアの男性(57)で、糖尿病歴があるとのこと。今年1月末にマカオからマニラへ赴き、当地で妻と暮らしていた。マニラ滞在中、外出禁止令が出ていたことから、大部分を家中で過ごしていたが、6月中旬に妻に咳の症状が現れたため、6月20日に車で診療所へ向かい、日用品の買い物を済ませたが、下車したのは妻のみ、外出時はマスクをしていたという。

 6月25日、患者と妻は10時45分マニラ発のキャセイパシフィック航空CX906に搭乗して香港国際空港へ向かい(座席番号42A)、同空港内でマカオ政府が在外居民の帰還用に特別運航する14時発の高速船に乗り継ぎ(座席番号31S)、マカオのタイパフェリーターミナルへ到着。移動中はマスクを着用しており、またマカオ入境時に発熱などの症状はなく、新型コロナウイルス核酸検査のためのサンプルを採取した後、14日間の隔離検疫を受けるため専用車で政府指定ホテルへ移動しており、市中には出ていなかった。その後、フェリーターミナルで採取したサンプルを使った検査結果が陽性と判明したことから、治療のためホテルから指定医療機関の仁伯爵綜合醫院に搬送され、隔離病室に入院。目下、患者の容体は安定しているとのこと。

 マカオ政府衛生局では、患者とその妻と同一便(フライト及び高速船)の前後3列の乗客を密接接触者とし、香港当局へ通報。高速船の該当者については、すでに全員が隔離検疫中で、初回のウイルス検査結果は陰性だったという。該当者については、検査頻度を増やして対応するとした。

 患者が利用した高速船の特別便は、政府が在外マカオ人の帰国希望に応えるため、6月17日から7月16日まで運航するもの。特別便の利用には事前登録が必要で、登録者数は26日夕方の記者会見時点で1328人に上り、すでに660人が帰国を果たしたとのこと。帰国希望者の滞在先には新型コロナ高流行エリアも含まれることから、衛生局では前回の帰国ピーク時(3月下旬から4月頭、この際は香港国際空港から港珠澳大橋を経由する専用バスでの輸送)と同様、帰国者数の一定の割合で輸入例が確認されることもあり得るとしていた。なお、前回ピーク時の感染率は約0.9%だったのに対し、今回は高速船特別便の運航9日目までの時点で0.16%(620人中1人の感染確認)にとどまっており、暫定ではあるが事前予想を下回っている状況とした。政府は十分に計画と準備を整えており、市民は過度な心配をしないよう呼びかけた。

 高速船特別便の利用にあたっては、流行状況が深刻な6ヶ国(インド、パキスタン、バングラデシュ、インドネシア、ブラジル)からの利用者に対し、現地の信頼できる医療機関が発行した新型コロナウイルス陰性証明書の提示を必須化する新措置が講じられた。この影響を受ける帰国希望者の数は約50人とのこと。

 これまでのマカオにおける累計感染確認者46人の内訳は輸入性症例が44人、輸入関連性症例が2人で、5月19日までに45人が治癒し退院済み。死亡例もゼロを達成している。

 マカオでは無症状であっても検査で陽性であれば感染確認者と見なされ、指定医療機関に入院して治療を受けることになっている。入院期間は平均3〜4週間、退院後も再発症リスクを考慮して隔離施設(高頂公共衛生臨床センター)の陰圧病室で14日間の経過観察、その後も14日間の自宅待機を必須とする多重の安全措置が講じられている。また、マカオの新型コロナ指定医療機関(2施設)には陰圧病床が232床あり、人工呼吸器72台、人工心肺装置(ECMO)3台を擁し、設備、医療スタッフとも充足している。市中感染、院内感染例とも発生していない。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見=2020年6月26日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

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