コロナ禍でマカオの海外労働者数が約7200人減…約5200人が就労許可更新されず

 マカオでは、近年の経済発展を追い風に人材需要が高まり、人口の少ない地元マカオの人材供給が不足したことから、海外(中国本土、香港、台湾を含む)からの労働者を必要とする状況が続き、総人口に占める海外労働者の割合は約3割にも達した。

 しかし、今年(2020年)1月以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって、状況は一変。マカオでは、防疫対策のため厳格な入境制限が講じられ、インバウンド旅客が激減。国際観光都市であるマカオ経済のインバウンド依存度は極めて高く、ダメージは甚大だ。

 7月31日にマカオ立法会で行われた口頭質問会で政府労工局の黄志雄局長が答弁した内容によれば、今年5月末時点でマカオ外地就労者身分証(通称:ブルーカード)保有する海外労働者数は18万9274人で、昨年末から7264人減少(-3.7%)だったとのこと。また、1〜5月累計で海外労働者5246人分の就労許可更新申請が承認されなかったという。

 近年、マカオでは海外労働者数は右肩上がりに増加を続けてきたが、コロナ禍でストップがかかったかたちとなる。昨年末と今年5月末との比較で減少数が最も大きかった業種は建設業の2432人で、以降はホテル業の1510人、飲食業の1157人、卸売・小売業の1128人の順。

 マカオの失業率は昨年末時点で過去最良水準だったが、コロナ禍において上昇傾向にあり、地元マカオ人の就労環境も厳しくなっているとされる。労工局では、いかなる時期においても、地元マカオの人材が不足した場合に海外労働者で臨時で補うという原則を強調した。

 労工局の陳元童副局長によれば、今年上半期に失業手当の申請した求職者の数は2868人で、業界別ではゲーミング(カジノ)業、小売業、建設業、飲食業、旅行業、職種別では販売員、キャッシャー、給仕、広報、警備が主だったとのこと。なお、失業手当を申請できるのは地元マカオ人のみで、海外労働者は対象外。

 マカオでは現時点でも厳格な入境制限は維持されており、インバウンド旅客の回復時期は見通せず、今後しばらくは海外労働者の減少トレンドが続くものとみられる。

新型コロナの影響でインバウンド旅客が激減したマカオ。写真は観光名所、世界遺産・聖ポール天主堂跡=2020年7月5日本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  アフターコロナ初年となったマカオの昨年(2023年)通期のカジノ売上(粗収益、Gross Gam…
  2.  マカオ・コタイ地区にある統合型リゾート(IR)ギャラクシーマカオのイーストスクエアで4月24日、…
  3.  マカオ治安警察局は4月24日、同月22日に路線バスの車内で乗り合わせていた20代の女性の臀部に下…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月24日、マカオ半島新口岸地区にあるマカオグランプリ博物館でレゴ…
  5.  マカオ政府衛生局は4月23日夜、マカオで「人食いバクテリア」と呼ばれる細菌のひとつ、ビブリオ・バ…

ピックアップ記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  5.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…

注目記事

  1.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  2.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  3.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  4.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  5.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun