中国本土からマカオへの観光旅行再開へ…まず広東省珠海市居民対象、順次エリア拡大へ=インバウンド市場復活に期待

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターが8月10日午後5時に開催した定例記者会見の中で、歐陽瑜社会文化長官が中国広東省珠海市居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の発給が同月12日から再開されることを明らかにした。

 珠海市はマカオと隣接する都市で、中国の経済特区のひとつ。このところ両地では新型コロナの流行状況は落ち着いている。

 渡航許可を所持していても、マカオ入境にあたって新型コロナウイルス核酸検査(PCR検査)陰性証明書、「健康コード」(直近の滞在歴、新型コロナ患者との接触歴の有無、発熱や咳といった症状の有無、連絡先を入力して生成されるもの)の提示など水際措置で定められた諸条件をクリアする必要がある。

 歐陽長官は、珠海市居民を対象に先行して再開されるが、他のエリアへ少しずつ拡大されるだろうとの見通しを示した。先行実施における状況がスムーズであれば、マカオ政府から中央政府へ対象エリア拡大の実現を申し出る考えという。

 また、マカオ居民(外国籍を除く)が中国本土を訪問する際の水際措置について、現時点では入境時に14日間の医学観察(隔離検疫)が免除される地域は広東省のみだが、8月12日午前0時から中国本土全域に拡大されることも決まったとのこと。

 ただし、これらの措置によってマカオ域内における新型コロナの流行が中・高リスク状態となった場合、止むを得ず中止することもあるとした。

 コロナ禍で国際観光都市マカオはかつてない逆風に晒されている。今年上半期(1〜6月)累計のインバウンド旅客数は前年同時期から83.9%減の326万8900人にとどまっており、これに比例してカジノ売上、ホテル客室稼働率、小売販売額なども大幅に低迷。インバウンド旅客に占める中国本土旅客の割合は約7割と大きく、約半年ぶりとなる中国本土からの観光旅行再開がインバウンド市場復活の第一歩にになると期待されている。

 このほか、マカオ域内における新型コロナウイルス新規感染確認は8月10日の記者会見時点で45日連続ゼロ、輸入関連性症例に限ると実に134日連続ゼロだったとのこと。

 これまでの累計退院者数は46人で、7月17日までに全員が退院済み。3月7〜14日と5月20日〜6月25日に続いて新型コロナ流行下で三度目の入院患者ゼロ状態に入っている。市中感染、院内感染例とも発生しておらず、死亡例ゼロも達成。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見。左から3人目が歐陽瑜社会文化長官=2020年8月10日(写真:GCS)

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