マカオ、カジノチップの現金化に絡む巨額詐欺容疑で現職警察官の男と中国本土出身の妻逮捕

 マカオ司法警察局は10月7日、マカオ人の2人の男性から預かった1000万香港ドル(日本円換算:約1億3680万円)相当のカジノチップを詐取したとして、マカオ治安警察局に所属する警察官の男(33)とその妻で中国本土出身の女(25)を巨額詐欺容疑で逮捕したと発表。

 警察発表によれば、警察官の男は2006年の入職。目下、マカオでは厳格な新型コロナウイルス感染症対策が講じられており、カジノ施設もニューノーマル体制下で営業を継続する中、一部のVIPルームではゲーミング(カジノ)チップの即時現金化に対応できていないとのこと。

 容疑者夫妻はこの状況に乗じ、「カジノチップを現金化する方法がある」と持ちかけ、「3日以内に成功させ、報酬として7%を受け取る」との約束を交わした上で、被害者から1000万香港ドル相当のカジノチップを受け取ったという。しかし、約束の期日が過ぎたことから、被害者が容疑者夫妻を問い詰めたところ、カジノで負けてしまい、すべて使い果たしたとする説明とともに「穴埋め」として108万香港ドル(約1477万円)が戻され、以降は全く連絡が取れなくなったことから、騙されたことに気づき、警察に通報したという。

 通報を受けた警察が捜査に着手。監視カメラ映像の分析などから、容疑者夫妻がはマカオ半島新口岸地区にあるカジノ施設内にあるVIPルームで7日間にわたってゲームに興じ、すべて使い果たしていたことが判明。5日夜、容疑者の女がスーツケースを持ってマカオから中国本土へ移動しようとした際、イミグレーション施設内で身柄を拘束。翌日、マカオ半島北部にあるマンションの一室を捜索し、警察官の夫を発見、逮捕に至ったとした。容疑者夫婦は警察の調べに対し、黙秘を貫いているという。

 なお、被害者によれば、容疑者夫妻と今年8〜9月にかけて2回にわたって同様の取引を行い、合計2000万香港ドル(約2億7360万円)の現金化に成功。いずれも1週間以内に現金を受け取ることができたとのこと。

 警察では、容疑者夫妻がどのような手法を使ってチップの現金化を実現したのかについても調査を進めているとした。

 マカオ治安警察局では、今回の現職警察官による違法行為に関して厳粛に対処するとし、すでに懲戒調査手続きに着手するとともに予防的停職措置を講じており、司法機関による捜査、法的及び規律責任の追及に全面協力するとの声明を発表した。

ゲーミングチップとバカラテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

ゲーミングチップとバカラテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

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