マカオ、10月のカジノ売上は対前月で改善…経済財政長官が見通し示す=中国本土との往来制限緩和進む中

 世界最大のカジノ売上(Gross Gaming Revenue=GGR)を誇る都市として知られるマカオ。しかし、コロナ禍で今年(2020年)のカジノ売上は低迷が続いている。

 最新統計によれば、今年9月のマカオの月次カジノ売上は前年同月から90.0%減、前月から66.2%増となる22.11億マカオパタカ(日本円換算:約293億円)だった。今年1〜9月累計のカジノ売上は前年同時期から82.5%減の386.05億マカオパタカ(約5119億円)で、マイナス幅は前月終了時点から0.9ポイント拡大している。

 対前年の主なマイナス要因として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環で1月下旬から現在に至るまで入境制限を含む厳格な防疫対策が講じられており、インバウンド旅客数が激減していることが挙げられる。対前月での増加要因は中国本土との往来制限の緩和が進んでいることを受けてのもの。

 目下、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び広東省における状況が落ち着いてきたことを受け、7月15日から両地の間で水際対策が一部緩和(新型コロナウイルス核酸検査の陰性証明書の提示などの条件付きで14日間の隔離検疫を免除)された。また、中国広東省珠海市居民及び広東省居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の発給がそれぞれ8月12日、26日から再開。9月23日から中国本土全域に拡大された。

 マカオ政府経済財政庁の李偉農(レイ・ワイノン)長官は10月22日、コタイ地区の統合型リゾート(IR)ザ・ヴェネチアン・マカオ併設のエキジビションホールで開催中の第25回マカオ国際貿易投資展覧会(MIF)を視察した際、囲み取材に応じた。李長官は10月のカジノ売上の見通しについて、「9月と比較して改善が見受けられた」とコメント。ただし、「それほど大きなものではない」と付け加え、具体的な数字については「後日(11月頭)に発表されるまでもうしばらく待っていただきたい」とした。仮に10月のカジノ売上が9月を上回るとすれば、対前月2ヶ月連続プラスということになる。

 10月初旬には中国本土で大型連休となる国慶節ホリデーがあった。連休中の中国本土からのインバウンド旅客数は当初見込みを下回ったが、それでも往来制限緩和前と比較してベースが上がったことは確か。マカオ政府旅遊局が中国本土において観光プロモーションを積極展開している。マカオの総インバウンド旅客数に占める中国本土旅客の割合は約7割。第4四半期以降、中国本土との往来制限緩和を契機とした旅客増に比例したカジノ売上の復調が期待される。

囲み取材に応じる李偉農マカオ政府経済財政庁長官=2020年10月22日(写真:GCS)

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