マカオ、11月のホテル客室稼働率が44%まで回復…前月から4.1pt上昇=中国本土との往来制限緩和進む中

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオ政府統計調査局発表資料によれば昨年(2019年)通期の訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は前年から10.1%増の延べ(以下同)3940万6181人で、3000万人の大台を6年連続突破するとともに、3年連続で最多記録を更新。しかしながら、今年(2020年)1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限が講じられたことを受け、インバウンド旅客数は激減。世界的な流行拡大に伴い、3月下旬からは水際対策が一層強化された。ただし、マカオと中国本土における流行状況が落ち着いてきたことを受け、7月15日から両地の間で水際対策が一部緩和(新型コロナウイルス核酸検査の陰性証明書の提示などの条件付きで14日間の隔離検疫を免除)された上、中国広東省珠海市居民及び広東省居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の申請受付がそれぞれ8月12日、26日から再開、9月23日から中国本土全域に拡大したことが挙げられる。これと並行してマカオと中国各地を結ぶ海路、空路の交通アクセスも元に戻りつつある。11月のインバウンド旅客数は前年同月から78.1%減の63万6351人だったが、前月から9.3%増。1〜11月累計では前年同時期から85.6%減の523万7441人にとどまっているものの、直近7ヶ月連続で対前月プラスを維持している。

 マカオ政府統計調査局は12月29日、今年11月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用ホテルの客室分は含まず、以下同)は43.9%で、前年同月から48.0ポイント(pt)の下落となった。一方、前月からは4.1pt上昇。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から51.3pt下落の41.5%、4つ星が42.8pt下落の48.8%、3つ星が39.4pt下落の55.1%、2つ星ホテルが53.6pt下落の23.9%、ペンサオンが33.6pt下落の34.1%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が11.2%減、4つ星ホテルが10.3%減、3つ星ホテルが変動なし、2つ星ホテルが41.9%増、ペンサオンが変動なしだった点も考慮する必要がある。2つ星が大幅増となった要因として、このカテゴリーとしては大型の新規ホテル(ホリデイインエクスプレス)が新規開業したことが挙げられる。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

 今年11月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から1軒減の120軒、供給客室数は7.8%減の3.51万室あり、このうち5つ星ホテルが3軒減の33軒で、供給客室数は全体の61.8%を占める2.17万室。

 今年11月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から59.3%減の47.3万人。マカオと中国本土との往来制限緩和が進む中、中国本土旅客は前月から12.8%増となる40.4万人に。ただし、前年同月比では49.3%減。インバウンド旅客急減中に地元マカオ市民によるステイケーションブームが稼働率の下支えに寄与したが、10月までに一段落した模様で、11月のマカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)の宿泊者数は前年前月から0.5%減の4.7万人に。ホテル宿泊客の平均滞在時間は前年同月から0.1日延びて1.6日。

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