マカオ経済財政長官「2021年カジノ売上は着実かつ安定的に推移する見通し不変」…財政予算では前年から倍増見込む

 新型コロナウイルス感染症の世界的流行はマカオのカジノ市場にも大きなマイナス影響を与えている。

 昨年(2020年)2月には防疫対策を理由に史上初めて全カジノ施設が14日間にわたって閉鎖に。1月下旬以降、水際措置によってインバウンド旅客も激減し、年間カジノ売上Gross Gaming Revenue=カジノ粗収益)は前年から79.3%もの大幅減となる604.41億マカオパタカ(約7861億円)にとどまった。

 厳格な防疫対策が奏功し、マカオにおける新型コロナ流行状況は落ち着いている。すでに6ヶ月以上にわたって域内における新規感染確認ゼロが続く。中国本土でも状況は落ち着いており、昨年7月中旬以降、マカオと中国本土の間の往来制限は段階的に緩和された。両地の往来に際し、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明の取得などの条件を満たせば隔離検疫が不要となり(中国本土の一部流行エリア滞在歴がある場合は要隔離検疫)、9月下旬までに中国本土旅客の訪マカオ許可(観光ビザに相当)の申請も再開に。中国本土旅客が戻りつつある中、マカオのカジノ売上の対前年マイナス幅は12月まで5ヶ月連続で縮小している。

 マカオの今年度(2021年1〜12月)財政予算におけるカジノ売上見込みは1300億マカオパタカ(約1兆6908億円)に設定されている。2020年実績の倍に相当し、平年との比較では5割弱となる。果たして見込み通り進捗するものなのか、注目が集まっている。

 マカオ政府経済財政庁の李偉農(レイ・ワイノン)長官は1月7日に囲み取材に応じた際、今年のカジノ売上について、着実かつ安定的に推移するとの見通しに変わりはないが、市場の変化に対して細心の注意を払うとコメントした。

 目下、中国本土との往来制限緩和後のインバウンド旅客の戻りが事前予測より緩やかな状況。政府は中国本土向けのインバウンド誘致プロモーションを積極展開している。李長官は、中国本土からのインバウンド旅客数は大幅増ではないが、回復傾向を維持しているとした上、現行の施策をベースに、旅客の滞在時間をより長く、消費額をより多くすることができるだろうとした。

 なお、市民や企業に対する追加の経済支援策については、前年すでに財政準備資産高の約2割を切り崩して充当しており、今後2〜3年の税収増が困難な状況の中、上手なやりくりが必要と慎重な姿勢を示した。

 マカオでは、2月中旬に年間最大の書き入れ時となる春節(旧正月)ホリデーを迎える。前年の春節ホリデーは1月下旬だったが、新型コロナの影響で霧散。今年の年間カジノ売上が見込み通り進捗するかは、春節を含む2月の結果次第となりそうだ。

囲み取材に応じる李偉農マカオ経済財政長官=2021年1月7日(写真:GCS)

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