マカオ、2021年6月のインバウンド旅客数は52.9万人…広東省における新型コロナ再流行による水際措置強化で前年同月比39.0%減

 マカオ政府統計調査局は7月20日、今年(2021年)6月の訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)統計を公表。

 5月下旬から広東省で新型コロナの再流行が出現したため、流入防止を目的とした水際措置の強化が図られたことから、6月のインバウンド旅客数に大きな影響が及んだ。

 6月のインバウンド旅客数は前年同月から22.4倍増、前月からは39.0%減となる52万8519人(延べ、以下同)。対前月では4ヶ月ぶりにマイナスとなった。新型コロナの影響が生じる前にあたる2019年の同月の約17%にとどまる。

 内訳は、宿泊を伴う旅客が21万5078人、日帰り旅客は31万3441人。旅客の平均滞在時間は前年同月から0.2日短い1.2日に。宿泊を伴う旅客の平均滞在時間は2.7日短い2.9日、日帰り旅客は横ばいの0.1日だった。

 インバウンド旅客のうち国・地域別で最多だったのは中国本土からの旅客で、全体の89.3%を占める47万1935人、前年同月比では21.4倍増。このうち個人旅行客は12万0604人。中国本土からの旅客の原居地別では、大湾区(グレーターベイエリア)9市が24万6673人で、このうちマカオに隣接する広東省珠海市が70.0%を占めた。香港と台湾からの旅客はそれぞれ5万2296人、4213人。

 インバウンド旅客の入境ルートは前年同月から陸路が19.0倍増の44万9776人で最多。このうち關閘イミグレーション経由が87.8%を占めた。空路は6万9390人、海路は9353人。

 今年1〜6月累計のインバウンド旅客数は前年同時期から20.2%増の392万7829人。内訳は宿泊を伴う旅客が33.2%増の205万8657人、日帰り旅客が8.5%増の186万9172人。旅客の平均滞在時間は0.2日延びて1.6日に。宿泊を伴う旅客の平均滞在時間は0.2日延びて2.9日、日帰り旅客は0.1日短い0.1日。

 マカオと中国本土の間では、昨年第4四半期までに往来制限が緩和され、直近7日以内の新型コロナPCR検査陰性証明の提示など一定の条件を満たせば隔離検疫免除で相互往来が可能となったことで、今年5月にかけてインバウンド旅客の緩やかな回復が進んだ。ただし、中国本土では再流行が散発的に発生しており、状況に応じて「中リスク地域」指定が行われ、これに該当する地域からマカオへ入境する場合には、隔離検疫を必要とするなどの措置が講じられる。

 今年5月下旬、マカオに隣接する広東省で再流行が発生。感染力の強いデルタ変異株の流行で、広州市と仏山市の広い範囲のほか、深セン市の一部などが中リスク地域に指定されたほか、省内の中リスク地域以外からの入境者についても、PCR検査陰性証明の有効期間が7日以内から48時間以内へと大幅に短縮された。ただし、6月末になって広東省における再流行は終息。7月10日までに同省内の中リスク指定はすべて解除となり、PCR検査の有効期限も7日間へと戻された。以降、インバウンド旅客数は再び回復傾向を示している。

 目下、中国本土を除く国・地域からのマカオ入境は厳しく制限されている状況。香港、台湾居民については、直近の滞在地、渡航歴によって分類され、入境禁止、14〜35日間(直前の滞在地域などにより異なる)の政府指定のホテルにおける隔離検疫(費用は自己負担)、新型コロナウイルスPCR検査陰性証明書の提示を求めるなどの対応。外国人(マカオ就労ビザ保有者を含む)については原則入境禁止が維持されているが、昨年12月1日からマカオ入境前21日間以上中国本土に滞在していることや入境目的などの諸条件をクリアした上でマカオ当局へ事前入境申請ができるようになった。しかしながら、条件が厳しいことから恩恵を受ける数は限定的とみられる。

 マカオの昨年(2020年)通期のインバウンド旅客数は前年から85%の大幅減となる約590万人にとどまった。マカオ政府旅遊局(MGTO)は今年のインバウンド旅客数見通しを600万〜1000万人程度としている。

マカオ歴史市街地区にあるモンテの砦から望む町並み(資料)=2020年4月本紙撮影

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