マカオ、実名登録済みマカオパスのみバス運賃割引の対象に…新型コロナ防疫措置と関連

 マカオでは、交通系ICカード「マカオパス(澳門通)」が広く普及している。公共路線バスのみならず、近年ではコンビニ、スーパー、飲食店、自販機など利用範囲も拡大し、利便性が向上している。

 マカオパスを利用する大きなメリットとして、公共路線バスの運賃割引が挙げられる。澳門の公共路線バスの運賃は現金支払いの場合、一律6マカオパタカ(日本円換算:約85円)だが、マカオパスを利用して支払うことで、一般路線が半額、快速路線が約33%引きとなる。また、最初のバス乗車時に支払いをしてから45分以内(コロアン島とマカオ半島の間の場合は60分以内)に次のバスに乗り継ぐ際には、乗り継ぎ先のバスが一般路線なら無料、快速路線の場合は差額分のみの支払いとなる。

 マカオ政府交通事務局(DSAT)は11月18日、マカオパスを利用したバス運賃割引の対象について、今年(2021年)12月11日以降、実名登録済みのカードのみを対象とすると発表。理由については、新型コロナウイルス感染症防疫対策の一環とした。

 実は、今年9月末から10月頭にかけて、タイパ島にある新型コロナ隔離検疫ホテルに勤務する複数の警備員とマカオ半島にある内装工事現場に出入りする複数人という2つのクラスターが出現。疫学調査の結果、2つのグループのうち1人ずつが同じ路線バスの近い位置で14分間乗り合わせ、同じ手すりを掴んでいたことで感染したことが判明した。この際、追跡調査を実施するにあたり、無記名のマカオパスを利用していた乗客の把握が困難だったことから、実名登録制導入機運が高まるきっかけとなった。

 実名登録の受付は11月17日午前0時からスタート予定とのこと。まず、専用サイト(www.macaubusreg.com)でマカオパスの番号、所有者の氏名、携帯電話番号(同一の携帯電話番号に紐付けできるマカオパスの枚数は最大3枚)を登録し、登録した携帯電話番号宛にSMSで届くコードで認証を行う。続いて、主要バスターミナル、マカオパスサービスセンター、IR(統合型リゾート)等に約130台設置される専用の読取端末にタッチすることでアクティベート手続きが完了するという。

 DSATによれば、無記名のマカオパスの流通枚数は約250万枚存在し、バス利用者のうち約2割が現金で支払っているとのこと。実名未登録のマカオパスや現金でバスを利用する際には、政府が導入を計画している行程記録機能付きの健康コードアプリを使って車両固有の二次元バーコードをスキャンして乗車することを求めるとした。

マカオの公共路線バスの料金箱とICカード読取機(資料)=2019年10月本紙撮影

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