マカオ、2021年10月のインバウンド旅客数は32.8万人…水際措置強化で対前月47.8%減=1〜10月累計では32.2%増

 マカオ政府統計調査局は11月22日、今年(2021年)10月の訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)統計を公表。

 今年10月インバウンド旅客数は前月から47.8%減となる32万8245人(延べ、以下同)で、対前月では2ヶ月ぶりのマイナスに。前年同月からも43.6%減だった。

 9月下旬にマカオの隔離検疫用ホテルの警備員の間でクラスターが発生(デルタ株)したことを受けて、再び水際措置が強化され、10月初旬にかけて新たな関連事案が出現したことから、年間最大の書き入れ時となる国慶節大型連休を含む10月のインバウンド旅客数に影響が生じた。

 内訳は、宿泊を伴う旅客が前年同月比63.9%減の11万1416人、日帰り旅客が20.8%減の21万6829人。旅客の平均滞在時間は前年同月から0.9日長い2.3日。宿泊を伴う旅客の平均滞在時間は4.5日長い7.2日、日帰り旅客は横ばいの0.1日。上述のマカオ域内における状況の変化により、10月上旬にかけてマカオから広東省珠海市へ入る際に隔離検疫が必須となったため、当月の滞在時間が延びる結果となった。

 今年10月のインバウンド旅客のうち国・地域別で最多だったのは中国本土からの旅客で、前年同月から44.2%減の30万0996人、全体に占める割合は91.7%。このうち個人旅行客は6万4097人。中国本土からの旅客の原居地別では、大湾区(グレーターベイエリア)9市が18万4662人で、マカオに隣接する広東省珠海市が67.4%を占めた。香港と台湾からの旅客はそれぞれ2万4403人、2809人。

 インバウンド旅客の入境ルートは前年同月から陸路が42.8%減の31万0841人で最多。このうち關閘イミグレーション経由が82.9%を占めた。空路は1万1843人、海路は5561人。

 今年1〜10月累計のインバウンド旅客数は前年同時期から32.2%増の608万3773人。内訳は宿泊を伴う旅客が43.0%増の301万5076人、日帰り旅客が23.1%増の306万8697人。旅客の平均滞在時間は0.2日延びて1.6日。宿泊を伴う旅客の平均滞在時間は0.4日延びて3.2日、日帰り旅客は0.1日短い0.1日。

 マカオの昨年(2020年)通期のインバウンド旅客数は前年から85%の大幅減となる約590万人にとどまり、今年10ヶ月目終了時点でこれを上回った。マカオ政府旅遊局(MGTO)は今年のインバウンド旅客数見通しを600万〜1000万人程度としており、すでに見通しの範囲内に入っている。

 マカオと中国本土の間では、昨年第4四半期までに往来制限が緩和され、直近7日以内の新型コロナPCR検査陰性証明の提示など一定の条件を満たせば隔離検疫免除で相互往来が可能となったことで、今年5月にかけてインバウンド旅客の緩やかな回復が進んだ。ただし、中国本土では再流行が散発的に発生しており、状況に応じて「中リスク地域」指定が行われ、これに該当する地域からマカオへ入境する場合には、隔離検疫を必要とするなどの措置が講じられる。8月以降はマカオでも市中感染確認例が相次ぎ、中国本土側でマカオからの入境者に対する隔離検疫を必要とする状況も生じた。

 目下、中国本土を除く国・地域からのマカオ入境は厳しく制限されている状況。香港、台湾居民については、直近の滞在地、渡航歴によって分類され、入境禁止、14〜35日間(直前の滞在地域などにより異なる)の政府指定のホテルにおける隔離検疫(費用は自己負担)、新型コロナウイルスPCR検査陰性証明書の提示を求めるなどの対応。外国人については原則入境禁止となっていたが、就労ビザを持つ人などを対象に一部緩和された。ただし、要件をクリアした上、当局への申請、承認手続きの必要があり、ハードルは高い。

インバウンド旅客数は10月下旬から回復に転じている(資料)=2021年10月、關閘イミグレーション前(写真:MGTO)

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