香港、新型コロナ新規陽性者は市中8人含む21人…屯門地区に隠れた伝播チェーン存在か=1/11

 人口約740万人の香港では、2020年11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いていたが、2021年5月にかけて状況が落ち着き、同月末までに終息した。

 6月以降も外遊歴のない人(多くが空港業務従事者)の散発的な感染確認があったものの、長く市中における連鎖的な伝播は出現していなかったが、大晦日に検疫規則違反のキャセイパシフィック航空の男性クルーをきっかけとしたレストラン「望月樓」店内での伝播が出現したことが判明し、83日にわたって続いた市中感染確認例ゼロ記録がストップ。年初には別のキャセイ航空クルーを発端とした感染連鎖伝播チェーン(いずれもオミクロン変異株)も見つかり、連日新たな陽性者が相次いでおり、すでに流行第5波が始まったものとみられる。

 香港衛生当局の発表によれば、1月11日午前0時時点集計の単日の新規陽性者は21人で、内訳は輸入関連性を含む市中が8人、輸入性(海外からの入境者)が13人。

 輸入関連性を含む市中の陽性者8人は、すべて既知の伝播チェーン上にあるものという。これとは別に初歩陽性者が約5人おり、うち1人が検疫センターのスタッフの女性(51)で、感染経路不明という。女性は主に検疫中の人への物資支給や荷物の運送を担当し、防護服を着用して任務にあたっていたという。なお、女性は新界・屯門地区在住。近日、屯門地区では多くの陽性者が出現しており(キャセイ航空クルー1人からの伝播チェーン)、衛生当局は隠れた伝播チェーンが存在する可能性もあるとし、同地区内に検査ステーションを増設するなどの対応を行っている。

 目下、香港では市中で出現した陽性者及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)あるいは強制ウイルス検査の対象となっている。

 域内におけるソーシャルディスタンス措置、水際措置の引き締めも進んでいる。近日の陽性者数の減少は水際措置の強化により輸入性事案が大幅減となったことによる。また、11日には新たに幼稚園・小学校における対面授業を1月14日までに取りやめることも発表された。再開は春節(旧正月)休暇明けの予定。

 このほか、香港の1月10日午後8時時点のワクチン接種率は74.7%(1回目の接種完了)、69.8%(2回目の接種完了)となっている。累計接種回数は1027万8766回、1日あたり接種回数は4万4959回(7日移動平均値3万9156回)。香港ではワクチンが充足している状況で、政府は昨年9月末までに免疫の壁を構築するのに必要とする目標の接種率7割(1回目接種完了)を突破できるとする見通し示していたが、9月以降は接種回数の低迷が顕著で、11月23日にようやく達成された。11月11日から3回目の接種(ブースター接種)がスタートし、上述の接種回数には3回目も含んだものとなっている。3回目の累計接種回数は54万3864回。市中感染確認例が相次ぎ出現したことで、年初から再び接種回数が増加傾向に転じている。目下、香港では2種類のワクチンが提供されているが、香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は11日、このうち不活化ワクチンの接種下限年齢を5歳まで引き下げる考えを明らかにした。

新界・屯門地区で局地ロックダウンの対象となったマンション住民に対するPCR検査の様子=2022年1月9日(写真:news.gov.hk)

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