香港の日系企業を狙った電話詐欺事件発生…領事館が再々注意喚起

 在香港日本国総領事館では、昨年(2021年)4月から香港の日系企業を狙った詐欺未遂事件が複数件発生していたとして、複数回にわたり一斉メール配信を通じて現地在留邦人へ注意喚起を行ってきた。

 同館が2月10日に発出した一斉メールによれば、その後も同様の手口による詐欺事件が続き、被害が生じたとの事例もあったとのこと。詐欺事件の手口と被害防止に向けた取り組み等を周知するとして、下記の内容に注意するとともに、同様の事案が発生した場合、同館及び本社の担当部署に通知するよう呼びかけた。

 香港の日系企業を狙った詐欺未遂事案の概要(最近の具体例)は以下の通り。(在香港日本国総領事館2022年2月10日配信メールの内容より)

1 電話詐欺のよくある手口
・日本本社の社長を名乗る人物より電話有り。
・日本本社の電話番号が着信番号として表示されることがある。
・日本語が流暢であるため、電話している人物は日本人と思われる。
・駐在事務所の経理財務責任者が狙われている。
・電話の内容は「M&A交渉のため指定の弁護士と連絡をとって、必要額を指定口座に振り込んで欲しい」というもの。
・極秘事案のため、本社への確認のための電話・メールは一切止めて欲しいという釘刺し有り。

2 被害防止に向けた取り組み
・電話で口座振込の指示を受けたら、先ず第三者(社内の担当者、在香港日本国総領事館、香港警察の詐欺相談ホットライン(連絡先等は下記5参照)など)に相談する。
・自らが把握している連絡先を基にして、電話をかけてきた人物本人又は担当部署に連絡し、事実を確認する(着信番号には架電しない)。
・社員(現地職員を含む)に対して上記電話詐欺の手口等を周知させ、防犯意識を高める。

3 電話詐欺の事案例
(1)事案1
・日本本社の社長を名乗る人物からお客様相談窓口への電話。
・現地職員が英語で対応したところ、日本の駐在員へ転送するように言われる。
・現地職員が用件を確認したところで電話が切れる。
・電話をかけてきた人物は英語を話していたが日本人と思われる。
(2)事案2
・日本本社の社長を名乗る人物から電話。
・声は本物の社長の声とそっくりであった。
・現地職員が対応したところ、経理関係の責任者に転送するよう言われる。
・着信番号として、日本本社の代表電話番号が表示されている。
・企業買収のために至急資金を送金する必要がある旨説明がなされる。
・極秘の案件であるため、他言厳禁と言われる。
・送金のための情報をメールで送信するので、早急に確認するよう言われる。
・送金先として指定されていた企業名は、実在の法人であった。

4 発生状況(在香港日本国総領事館把握分)
・2021年4月~6月:4件
・2021年7月~9月:2件
・2021年10月~12月:4件
・2022年1月~:1件

5 香港警察の詐欺相談ホットライン
電話番号:18222(緊急の場合:999)
24時間対応(英語、広東語、普通語対応)

香港の町並み(資料)—本紙撮影

香港の町並み(資料)—本紙撮影

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