中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は1979人…上海が8割超占める、北京では職域クラスター発生相次ぐ=5/13

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月14日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月13日の中国本土における新規市中感染確認者数は253人(前日から59人減)だったとのこと。内訳は、上海市194人、北京市32人、河南省7人、広東省4人、青海省4人、四川省3人、遼寧省2人、重慶市2人、吉林省1人、福建省1人、山東省1人、湖南省1人、広西チワン族自治区1人。このうち上海市の140人、遼寧省の2人、四川省の2人、北京市の1人、広東省の1人、重慶市の1人、青海省の1人の計148人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは210日連続、14日連続で1千人以下となった。

 市中の無症状感染例は1726人(前日から414人減)。内訳は、上海市1487人、四川省90人、河南省40人、遼寧省33人、北京市24人、青海省19人、江蘇省17人、江西省5人、天津市2人、河北省2人、浙江省2人、広東省2人、安徽省1人、湖北省1人、貴州省1人。

 無症状を含む新規感染者数は1979人で、14日連続1万人以下に。このうち上海市の報告数が1681人に上り、全体の84.9%を占めた。

 5月13日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は6353人(うち輸入性が198人)で、重症者は384人(輸入性はゼロ)。無症状の患者6万1780人(輸入性469人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・上海(資料)—本紙撮影

中国・上海(資料)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。

 今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態が続き、依然として本格的な解除時期は見通せない状況。ただし、このところ同市における新規感染確認数は緩やかな下落傾向にある。13日は2日ぶりに2千人以下となったが、依然として全体に占める割合は8割超。同市では5月中の社会面清零(隔離対象以外の一般市中におけるゼロコロナ状況)実現を目標として示しており、市当局はこれに向けて新規感染者の減、リバウンドの防止策を全力で講じるとしている。

 4月22日以降、北京市でも連日2桁の感染例が続いている。13日午後3時までの累計感染者数は978人に上った。依然として市内に見えない伝播チェーンが存在するとされ、近日は複数の職域クラスターが相次ぎ発生。銀行のデータセンター、鉄道会社に加え、13日には新たにバスターミナルのケースが明らかとなった。目下、市内では多くの区でPCR検査によるスクリーニングの実施のほか、人の流動を減らす措置が講じられるなど、防疫対策の強化が進んでいるという。

 香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、近日は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、省南部の湛江市では5月7日から倉庫会社を発端とした感染者の出現が続く。

 マカオ特別行政区では5月13日まで215日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、3月初旬にピークを過ぎたとされる。第5波開始以来、5月13日までの累計は約119.5万人(無症状含む)、死亡者数は9146人に。13日単日では298人(輸入性21人含む)で、4日連続上昇となったが、13日まで20日連続で500人以下を維持し、目立ったリバウンドは発生していない。一方、ソーシャルディスタンス措置の緩和を受けて、近日は複数のクラスターが発生していることが懸念といえる。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

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