中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は1718人…上海が約8割、北京の4月下旬以来の累計が1千人超に=5/14

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月15日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月14日の中国本土における新規市中感染確認者数は226人(前日から27人減)だったとのこと。内訳は、上海市166人、北京市33人、四川省13人、河南省5人、遼寧省2人、貴州省2人、河北省1人、吉林省1人、広東省1人、広西チワン族自治区1人、重慶市1人。このうち上海市の111人、北京市の7人、四川省の2人の計120人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは211日連続、15日連続で1千人以下となった。

 市中の無症状感染例は1492人(前日から234人減)。内訳は、上海市1203人、四川省196人、河南省24人、遼寧省16人、江蘇省9人、北京市8人、河北省8人、安徽省7人、青海省7人、浙江省3人、江西省2人、山東省2人、広西チワン族自治区2人、重慶市2人、貴州省2人、吉林省1人。

 無症状を含む新規感染者数は1718人で、15日連続1万人以下に。このうち上海市の報告数が1369人に上り、全体の79.7%を占めた。

 5月14日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は6141人(うち輸入性が196人)で、重症者は383人(輸入性はゼロ)。無症状の患者5万8878人(輸入性481人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・北京(資料写真)—本紙撮影

中国・北京(資料写真)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。

 今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態が続き、依然として本格的な解除時期は見通せない状況。ただし、このところ同市における新規感染確認数は緩やかな下落傾向にあり、14日まで2日連続2千人以下を維持したが、依然として全体に占める割合は8割前後という状況。同市では5月中の社会面清零(隔離対象以外の一般市中におけるゼロコロナ状況)実現を目標として示しており、市当局はこれに向けて新規感染者の減、リバウンドの防止策を全力で講じることしている。

 4月22日以降、北京市でも連日2桁の感染例が続いている。14日までの累計感染者数は1千人超に達した。依然として社会面(隔離対象ではない一般市中)での感染確認例が出現しており、近日は職域クラスターが相次ぎ発生している。銀行のデータセンター、鉄道会社、バスターミナルに加え、14日には新たに配送会社のケースが明らかとなった。市当局は深刻な状況が続いており、複数のクラスターが発生するなど不確定性も増しているとの見方を示し、特に運送会社の配送員、内装工、警備員といった流動性の比較的大きい職種に対する防疫管理の常態化、合理的な低密度化を図って対処しているとした。目下、市内では多くの区でPCR検査によるスクリーニングの実施のほか、人の流動を減らす措置が講じられるなど、各種防疫対策の強化が進んでいる。

 香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、近日は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、省南部の湛江市でも5月7日から倉庫会社を発端とした複数の感染者が出現したが、14日まで5日連続で社会面における新規感染者は出現しておらず、情勢は落ち着きつつあるとのこと。

 マカオ特別行政区では5月14日まで216日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、3月初旬にピークを過ぎたとされる。第5波開始以来、5月14日までの累計は約119.5万人(無症状含む)、死亡者数は9147人に。14日単日では284人(輸入性33人含む)で、5日ぶりに減少となった。14日まで21日連続で500人以下を維持し、目立ったリバウンドは発生していない。一方、ソーシャルディスタンス措置の緩和を受けて、近日はクラスターの発生が続いている。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

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