中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は824人…上海は7日連続1千人以下、北京では1ヶ月累計1400人規模に=5/21

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月22日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月21日の中国本土における新規市中感染確認者数は157人(前日から24人減)だったとのこと。内訳は、北京市52人、上海市52人、天津市36人、四川省12人、河南省3人、広東省1人、陝西省1人。このうち上海市の29人、天津市の12人、四川省の3人、北京市の1人の計45人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは218日連続で、19日連続500人以下となった。

 市中の無症状感染例は667人(前日から284人減)。内訳は、上海市570人、四川省35人、天津市20人、河南省15人、吉林省10人、北京市9人、安徽省4人、遼寧省1人、江蘇省1人、浙江省1人、福建省1人。

 無症状を含む新規感染者数は824人で、9日連続2千人以下に。このうち上海市の報告数が622人に上り、全体の75.5%を占めた。上海では7日連続1千人以下を維持。

 5月21日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は4405人(うち輸入性が200人)で、重症者は200人(輸入性1人)。無症状の患者3万7636人(輸入性443人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・上海(資料)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。

 今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態にある。ただし、このところ同市における新規感染確認数は緩やかな下落の後、1000人弱で下げ止まっている状況、5月17日までに全市で社会面清零(隔離対象以外の一般市中におけるゼロコロナ状況)が実現したとされ、封鎖エリアの縮小、開放を順次進め、6月1日から中・下旬にかけて正常化を図る計画が示された。22日から区を跨ぐ交通について段階的に再開予定となっており、22日時点で地下鉄4路線とバス273路線が運行を再開するとのこと。

 4月22日以降、北京市でも連日2桁の感染例が続いている。5月21日午後3時までの累計感染者数は1399人で、市内15の区に分布。市当局は21日夕方の会見で、市内では依然としてクラスター及び社会面(隔離対象ではない一般市中)におけるPCRを検査を通じたスクリーニングで陽性者が出現するなど膠着状態にあり、防疫面での不確定性が増加しているとの見方を示した。朝陽区、豊台区、房山区、順義区に続き、21日正午から海淀区の全域でも管理が強化され、在宅勤務、小区と村の閉塞式管理、飲食店のイートイン営業中止といった措置が講じらたという。

 香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、以降は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、省南部の湛江市でも5月7日から倉庫会社を発端とした複数の感染者が出現したが、一般市中への拡散はない模様。21日の省内の新規感染者1人は湛江市から報告されたもの。

 マカオ特別行政区では5月21日まで223日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、3月初旬にピークを過ぎたとされる。第5波開始以来、5月21日までの累計は119.7万人(無症状含む)、死亡者数は9157人。21日単日では228人(輸入性16人含む)で、3日連続減少、27日連続で500人以下を維持し、12日ぶりにピーク期以降の最少を更新した。ここまで目立ったリバウンドは発生していないものの、直近2週間は200〜300人前後で下げ止まっている状況。一方で、ソーシャルディスタンス措置の緩和を受けて、近日はクラスターの発生が続く中、今後のリバウンドの有無に注目される。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

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